私だけのあなた*カラ松 ページ46
あと、
3秒、2秒、
1秒……来た!
『カラ松先輩おはようございます今日もカッコいいですね! 』
早口で一息もせず、
おまけの、最高の笑顔は忘れずに。
だって、こうしないと逃げられちゃうから。
目の前の人物は苦笑いを浮かべ、
足早に通り過ぎようとする。
『ちょ、先輩! 挨拶返してくださいよ! 』
そう言って腕をとれば、小さな声で怯えたように
おはよう、と返される。
あぁ、幸せです。
「ななな、んでいつも俺のいる場所が分かるんだ」
『先輩のこといつも見てますから! 』
一歩間違えればストーカーのような発言だが、
そんなの気にしない。
『ではまた放課後、部活で! 』
私の毎朝のカラ松先輩に挨拶をするという日課は、
今に始まったことではない。
松野カラ松はこの学校でも有名な、
六つ子の次男だ。
そして、私の所属する演劇部の部長である。
「ねぇ、あの先輩のどこがいいの? 」
お弁当を食べてると改まった様子で聞いてくる友達。
『え、カッコいいじゃん』
「顔が? 」
『うん』
「他にも同じ顔がいるじゃない」
『全然違うよ!』
ふてくされていると、友達は小さな声をあげ廊下を指差す。
つられてみると、そこにはあの愛しい人が。
『せ、ぱっ! 』
「言えてないよ。5時間目までには帰ってきなー」
そんな友達の忠告に生返事をしながら、
私は教室を飛び出す。
意外とカラ松先輩歩くのが速い。
これが男女の差というやつか。
『せ、先輩! 』
呼び止めると、今度は勢いを出した私が止まれなくなり、
カラ松先輩に体当たりする。
「だ、大丈夫か? 」
ぶつかったことより、私を心配してくれるなんて、
紳士だわ……
友達に呆れ顔されそうなことを思ってると、
カラ松先輩はさらに顔を近づけて、
「大丈夫か? 」
と言ってきたので、私は急いで首を縦にふる。
『それより先輩どこいくんですか?
先輩の教室反対ですよね』
カラ松先輩の教室の方向を教えるように私は指差す。
質問に一瞬、カラ松先輩はたじろいだが、
いつもの調子で答えた。
「俺は今から孤独に浸ってくるぜ……」
と顎に手を添えながら、カッコをつけて答えた。
『先輩。
私、先輩の努力家なところ大好きです』
私は鏡の前で何度も練習した、
カラ松先輩用の最高の笑顔を向ける。
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月夜の光(プロフ) - 林檎麻さん» 林檎麻様、更新が遅くなって本当に申し訳ありません! お気に召したらいいなと思っております> < (2016年9月20日 0時) (レス) id: d3821ecd4f (このIDを非表示/違反報告)
林檎麻(プロフ) - 月夜の光さん» うわあぁあぁ返信ありがとうございます!!!こちらこそ本当にありがとうございます!! (2016年8月18日 23時) (レス) id: 6ae5345221 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の光(プロフ) - 林檎麻さん» いつもありがとうございます!リクエストもとても嬉しいです!期待に沿えるよう頑張ります!! (2016年8月18日 20時) (レス) id: 882257e3d8 (このIDを非表示/違反報告)
林檎麻(プロフ) - カラ松とツンデレ妹夢主ちゃんの絡み合いが見たいです!!(笑)いつも怪我ばっかりしている次男の身体を見て、ちょっと心配する夢主ちゃん…みたいのです…分かりづらくてごめんなさい…!! (2016年8月17日 22時) (レス) id: 6ae5345221 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の光(プロフ) - 林檎麻さん» コメント本当にありがたいです!一松が一番好きなので、どうしても一松ばっかりになってしまいます笑笑 新作も見て頂きありがとうございます!そちらは全然更新出来てませんね…なのでそっちも頑張ります!いつもありがとうございます!! (2016年7月3日 9時) (レス) id: 882257e3d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月夜の光 | 作成日時:2016年3月17日 0時