どうか、気がつかないで *おそ松 ページ41
「俺、
あの子嫌いなんだよね」
卒業式の日。
彼から放たれたこの言葉が、
今でも頭から離れない。
二年という月日は早いもの。
ほんの数日前までは未成年という立場だったのに、
今、目の前にはビールやら焼酎やらが、
おつまみと一緒に並んでいる。
「A〜呑んでる〜? 」
『ちょっと、シオン呑みすぎだよ』
私をこのクラス会に誘ってくれた友達のシオンは、
完全に出来上がっていた。
小さな居酒屋を貸し切って集まったのは、
高校三年生の時の同級生。
卵パックみたく収まり、
窮屈になりながら、
皆思い思い自分の話したいことを話す。
ユキちゃんは最近できた彼氏のことを。
野上君は自分をこき使う上司について。
カナちゃんと川崎君、お似合いのカップルは、
今も続いてるらしい。
クラス会なんてこんなものなんだと、
一人で周りを見渡しながら落胆する。
自分の近況報告。
変わる人は変わったし、変化のないものはない。
私が分類されるなら、変化ナシの方だ。
今もこうして、教室の延長戦のように、
隅で目立たぬようチビチビとお酒を飲む。
こうした場面でも、
中心になる人物は決まっているのだ。
教室から居酒屋に場所が変わっただけのこと。
その時、たてつけの悪い扉が激しく開かれる音がした。
貸切なので、同級生であることは確か。
「あ、やっと来たよー」
「遅〜い」
一瞬にして暖簾をくぐってくる人物の周りに、
芸能記者のように人が群がる。
私はもちろん座敷に座ったまま、その光景を眺める側。
異様に心臓が早く打っている。
手が震えはじめた。私、緊張してるんだ。
それもそのはず。
数秒前に来ただけなのに、もう中心にいる彼。
誰にでも好かれているというのは、
それは逆に言えば、彼もみんなを好きだからだ。
だから、人が集まってくる。
その、松野おそ松に、
嫌われている私。
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月夜の光(プロフ) - 林檎麻さん» 林檎麻様、更新が遅くなって本当に申し訳ありません! お気に召したらいいなと思っております> < (2016年9月20日 0時) (レス) id: d3821ecd4f (このIDを非表示/違反報告)
林檎麻(プロフ) - 月夜の光さん» うわあぁあぁ返信ありがとうございます!!!こちらこそ本当にありがとうございます!! (2016年8月18日 23時) (レス) id: 6ae5345221 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の光(プロフ) - 林檎麻さん» いつもありがとうございます!リクエストもとても嬉しいです!期待に沿えるよう頑張ります!! (2016年8月18日 20時) (レス) id: 882257e3d8 (このIDを非表示/違反報告)
林檎麻(プロフ) - カラ松とツンデレ妹夢主ちゃんの絡み合いが見たいです!!(笑)いつも怪我ばっかりしている次男の身体を見て、ちょっと心配する夢主ちゃん…みたいのです…分かりづらくてごめんなさい…!! (2016年8月17日 22時) (レス) id: 6ae5345221 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の光(プロフ) - 林檎麻さん» コメント本当にありがたいです!一松が一番好きなので、どうしても一松ばっかりになってしまいます笑笑 新作も見て頂きありがとうございます!そちらは全然更新出来てませんね…なのでそっちも頑張ります!いつもありがとうございます!! (2016年7月3日 9時) (レス) id: 882257e3d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月夜の光 | 作成日時:2016年3月17日 0時