月の欠片、星の雫【短編集】

箱に閉じこめて ＊↑のおそ松視点です ページ33

泣いて




鳴いて




啼いて欲しい





俺だって最初は気の迷いだったよ。

だって、Aは俺と違って働いてるし、

一人暮らしだし、帰ってくるの遅いし。

寂しいんだよ。




でも、ある時それがバレた。




怒鳴られると思ったら、Aは泣いてた。


俺が悪いのに、自分が悪いみたいに謝ってきて、

"悪いところ全部直すから" って。



その時感じた、征服感といい幸福感といい、

胸がどうしようもなく疼いた。



自分の彼女が顔真っ赤にして泣いているのに、

もっと泣けばいいって思った。


そう思うと、

あとは坂を転がるが如く、

行動はエスカレートしていった。



わざとAが通る道で女の子とデートしたり、

女の子から電話がくる時間になると、

彼女のそばにケータイを置いて、

目に入るようにした。


その度に彼女は縋るような目で俺を見てきた。

心が満たされる気がした。






ねぇ、だから嫌いなんて言わないで



キスさせてよ



他の子じゃダメなんだ





「A」





名前を呼ぶと素直に耳が赤くなるのが、

たまらなく愛しい。



そのまま、獣みたいにキスをした。


いっそ、血が出るまで食んでしまいたい。





「好き」





Aが愛しくて、可愛くて、






だから時々、壊れるくらい傷つけたいと思う。






俺のせいで傷ついてる。






俺のために泣いてる。






これは病気だ。






治せるのはAだけだから、どうか






俺から離れたりしないで




Fin.

痛みさえも愛おしい ＊記憶に刻んで…の番外編です→←同じ過ちを繰り返す ＊おそ松

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