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記憶に刻んで、消して欲しい*一松 ページ25

僕には最近、気になる人がいる。



(いた……)



スタッフルームから室内を覗き込む。

案の定、いつものように木のイスの上に彼女は一人でいた。


彼女が気になるキッカケなど忘れた。

気がついたら目で追って、追って。

どうしようもなく、胸がいっぱいになる



もちろん彼女と接点などない。

話しかけたこともない。

いつも、こんな陰の方から見ているだけ。




(ただの、気持ち悪い奴じゃん……)




自嘲的に笑っていると背後から声をかけられた。



「松野君、さっきモカがお客さん引っ搔いちゃったから、

爪切っといてもらっていい?


俺、今から手空いてなくて」



二つ上の先輩に申し訳なさそうに言われ、

僕は頷きスタッフルームをあとにした。


モカ、という名前の猫はちょうど彼女の足元にちょこんと座っている。




これは何かのチャンスなのか。

いや、急に話しかけたら気味悪がられるかも。



周りにスタッフは何人かいたので、僕もそれに混じる。

おそらく彼女にも、

僕なんか周りと同じスタッフにしか見えないんだろう。




「……失礼します」




思い切って彼女に向かって声をかけてみた。

が、彼女はチラリと僕を見たかと思うと、

すぐに勢いよく顔を伏せる。



まるで、無視された気分だ。

そんなにあからさまにやること?

一人のスタッフとして接しただけなのに。



僕が足元に座ると、真っ直ぐ伸びていた足がサッと視界から無くなる。

見上げると僕に背中を向け、彼女は猫と戯れていた。



それが妙に拒絶されたように僕には見えた。

いや、被害妄想かもしれないけど。

"私の足元にいないで" と言ってるみたい。


僕はモカを持ち上げると、スタッフルームへ戻った。

記憶に刻んで、消して欲しい→←君とあなたと世界の終わり *一松



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月夜の光(プロフ) - 林檎麻さん» 林檎麻様、更新が遅くなって本当に申し訳ありません! お気に召したらいいなと思っております> < (2016年9月20日 0時) (レス) id: d3821ecd4f (このIDを非表示/違反報告)
林檎麻(プロフ) - 月夜の光さん» うわあぁあぁ返信ありがとうございます!!!こちらこそ本当にありがとうございます!! (2016年8月18日 23時) (レス) id: 6ae5345221 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の光(プロフ) - 林檎麻さん» いつもありがとうございます!リクエストもとても嬉しいです!期待に沿えるよう頑張ります!! (2016年8月18日 20時) (レス) id: 882257e3d8 (このIDを非表示/違反報告)
林檎麻(プロフ) - カラ松とツンデレ妹夢主ちゃんの絡み合いが見たいです!!(笑)いつも怪我ばっかりしている次男の身体を見て、ちょっと心配する夢主ちゃん…みたいのです…分かりづらくてごめんなさい…!! (2016年8月17日 22時) (レス) id: 6ae5345221 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の光(プロフ) - 林檎麻さん» コメント本当にありがたいです!一松が一番好きなので、どうしても一松ばっかりになってしまいます笑笑 新作も見て頂きありがとうございます!そちらは全然更新出来てませんね…なのでそっちも頑張ります!いつもありがとうございます!! (2016年7月3日 9時) (レス) id: 882257e3d8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月夜の光 | 作成日時:2016年3月17日 0時

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