子供のような、大人のような ページ16
それに負けて、
ゆっくりと両手を地面に下ろした。
店にいる彼は自慢話しでもするように喋り続ける。
「泣きながらしがみついてきたから、
言ってやったよ。
"お前なんて本気じゃなかったんだよ"
てな」
「ヒドイな〜。
彼女かわいそーじゃないすか」
一気に気持ちが冷めるのがわかる。
私はなんて最低な男と付き合っていたのだろう。
自分に嫌気がさす。
これ以上聞いたら、泣いてしまいそう。
「おい」
すると、今まで聞いたことがない低い声がする。
驚いて顔を上げる。
「おめぇらなんか……
俺のおでんを食べる資格はねぇ‼ 」
屋台のそばで寝ていた猫が、
驚いたように走り去る。
今のをチビ太はどういう感情で言ったのだろう。
そこにどんな気持ちがあっても、私はチビ太に助けられた。
あれ以上は聞きたくなかったから。
横を見ると、得意げな顔で笑っている彼がいた。
「な? 嫌われてなんかいないだろ」
肯定の意で首を縦に大袈裟に動かす。
何かを話したら泣いてしまいそう。
嬉しさで。
ちゃんと話さなきゃいけないんだ。
私は意を決して立ち上がる。
突然の行動に男の人も驚いた顔で私を見てきた。
『私、ちゃんと話しします』
感謝を込めて頭をさげる。
すると、頭にポンポンと手がのった。
応援をしてくれてるみたいだ。
「ん。おねーさん頑張ってね」
そう言うと、彼は頭を首の後ろで組み、どこか嬉しそうに暗闇に消えていった。
それを見送り、私も彼と反対方向へ歩き出す。
(いつ会いにいこう)
そんな思いを馳せているとある事に気づく。
『あの人、名前なんていうんだろ……』
今は知らなくてもきっと大丈夫。
また、会う気がする、
自然とそう思えるのだ。
『店の常連客って言ってたしね』
きっと、このおでん屋さんが繋いでくれるはず。
『そしたら今度はチビ太とあの人と私の3人で呑みたいなぁ』
きっと、くるであろう未来を想像する。
そうすると気持ちが楽しくなる。
先ほどまで入るのを躊躇っていた暖簾も早く、くぐりたいと思えるのだ。
fin.
今日はどこに行こうか *トド松→←子供のような、大人のような
20人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月夜の光(プロフ) - 林檎麻さん» 林檎麻様、更新が遅くなって本当に申し訳ありません! お気に召したらいいなと思っております> < (2016年9月20日 0時) (レス) id: d3821ecd4f (このIDを非表示/違反報告)
林檎麻(プロフ) - 月夜の光さん» うわあぁあぁ返信ありがとうございます!!!こちらこそ本当にありがとうございます!! (2016年8月18日 23時) (レス) id: 6ae5345221 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の光(プロフ) - 林檎麻さん» いつもありがとうございます!リクエストもとても嬉しいです!期待に沿えるよう頑張ります!! (2016年8月18日 20時) (レス) id: 882257e3d8 (このIDを非表示/違反報告)
林檎麻(プロフ) - カラ松とツンデレ妹夢主ちゃんの絡み合いが見たいです!!(笑)いつも怪我ばっかりしている次男の身体を見て、ちょっと心配する夢主ちゃん…みたいのです…分かりづらくてごめんなさい…!! (2016年8月17日 22時) (レス) id: 6ae5345221 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の光(プロフ) - 林檎麻さん» コメント本当にありがたいです!一松が一番好きなので、どうしても一松ばっかりになってしまいます笑笑 新作も見て頂きありがとうございます!そちらは全然更新出来てませんね…なのでそっちも頑張ります!いつもありがとうございます!! (2016年7月3日 9時) (レス) id: 882257e3d8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:月夜の光 | 作成日時:2016年3月17日 0時