[東京喰種]サワルナキケン。[月山習]

29 ページ30

・



「…今、俺助けなくてよかったよな!?登場の仕方間違えた!」



頭を抱えた。


またお前か……。



「『アオギリ』…ッ!!」


「キザ野郎を助けちまったのはかなしい誤算だが…まあいい。マッドサイエントスとAは俺らがいただくぜ」



……ん?


今聞き慣れない言葉のあとにすごく聞き慣れた言葉が。



「はあああ!?あたし!?」


「A…戻ってきてくれよ!!」


「だから戻らないって……」



上を見上げると、ガギとグゲとエト。



「エトまでいやがる…!」


「マズくないスか…」



めんどくさいことになりそうだ。いや、なる。


あれ、そういえば……。



鯱がいない……?



まさかカネキの所か。


まずいな。



「この状況――。最初に動き出すのは本当の実力者か、空気の読めない愚か者だけ――」



習がそう言った途端、ナキが動いた。


あ、やっぱバカだこいつ。


ため息をついて立ち上がる。



「…習」


「ようやくお出ましかい!」


「ナキは任せたぞ」


「は!?なんでだよA!!アメリカよりAがいい!!」


「アメリカはやめたまえ!それにAは渡さないよ!」



ガギとグゲの相手をするイチミ、ジロ、サンテの援護に向かった。



「Aさん!」


「んー、あたしはあくまでサポートってことで」



視界の隅で万丈がどこかへ行くのが見えた。


げ、頼むからエトのとこは行くなよ……。



「ごめん、イチミ。頼むぞ」


「えっ!どこ行くんですか!」


「ちょっとね!」



万丈の後を追って進む。


遠くに見えるのは、さっきの白いのと黒いの。



エトは?



「おとし物」


「万丈っ…」


「骨。あなたの」



大きく開いた万丈の腹。



「エト……」


「…A。いつまでそんな所にいるつもり?」



唇を噛み締める。


だめだ、今ここでエトとやっても無駄。




「早くここにおいでよ」


「黙れ……」



左目が熱くなる。


本当に、嫌いだ。




・

30→←28

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す