20話 ページ20
夏油サイド
「午後の授業は休むといい。先生に伝えておくよ」
「ありがとうございます」
Aちゃんを部屋まで送り届けたあと彼女が休むことを先生に告げ自分は午後の授業へ行く…
ということもなくふらりと屋上へ向かう。
そして誰もいるはずもない屋上のフェンスに向かい合っては足を上げてガシャガシャ!!!と何度も何度も蹴るのを繰り返す。
それでも収まらない腸が煮えくり返る程の怒りに喉から耐えられなくなった叫びが溢れ出る。
「あ゛ー!!!鬱陶しい…ッ…!!!悟の拗らせも、Aちゃんの悟への好意も!!!」
今回を機に二人の間に亀裂が入るように仕向けたつもりだった。
悟の大っ嫌いな香水をAちゃんにつけさせてより嫌われるように。そして、彼女が傷ついたところに付け入るようしたつもりだったが…
悟のあの態度はなんなんだ?今までだったらすぐに切り捨ていたくせにAちゃんに限ってまだ名残惜しそうに関わりたいという意思が在るのは。
Aちゃんは悟しか見えてないのか?水をかけられても尚、悟を否定しない。罵倒しない。愚痴すらこぼさない。何なら少しぐらい…
「気持ちが私に揺らいだっていいだろッ…!」
こちらに眼中にない彼女が腹立つ。しかし同時に絶対落として魅せると私の心を煽らす。
「ハァ…ほっんと手強くて仕方がない子だ」
息を吐き出して空を仰ぎ、一度心を落ち着かせる。
今回は焦りすぎた。最終的な段階まであと二日。二日で終わらせてやる。
Aちゃんがそんなに悟が好きならそこを逆手に利用してやればいい。
悟がAちゃんに対する思いに自覚が現れて来てるならはっきりする前に潰せばいい。
「Aちゃんを好きなのは私だ…私が手に入れるんだ。渡さない、悟に渡すものか」
そう自分に言い聞かせれば自然と上がる口角。大丈夫。きっと上手くいく。
晴れやかな気持ちになった今、あたる必要性のないフェンスから手を離そうとした時ぐらりと揺れ、傾く。
「!っ危ないな、立て付けが悪いのか」
といっても私が蹴ったせいか。チラリと留め具のところを見ると緩んでいるネジ。
…使える時に使えるか。最悪、脅し専用にって時に。そんなことしたくないが万が一のため、彼女が私の意見に応じない時は、
「強行な手段も必要だよね」
どう使うかはその時次第だ。
そのまま直すことなく放置し、屋上をあとにする。
さぁ、今日の放課後もAちゃんへ新たなアドバイスを届けようか。
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Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» 前作でも今作でもコメントありがとうございます!ドロッドロという素敵な褒め言葉、最高に嬉しいです!心情は特に意識しているのでそう言って頂けて光栄に思います!次回作を出せれた時はぜひ応援よろしくお願いします!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2021年4月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - ドロッドロでおっもい(超褒め言葉)好み過ぎる作品をありがとうございました! 前作も読ませて頂きましたが、どちらも心情描写が堪らなく好きです。作者様のペースで新しい作品を作って頂ければ飛びつきます。本当にありがとうございました。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ノアさん» 最後まで読んで下さりありがとうございました!いつもは今までの作品も読んで下さっていたのかな?今作も読んで頂き嬉しい限りです!世界観を味わってもらうよう文は意識しているのでハラハラしたという感想を頂けて大満足です!今後とも応援よろしくお願いします! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - muuさん» muu様!またのコメントありがとうございます!そして最後まで読んで下さりありがとうございました!憧れである貴方様に素敵な褒め言葉を頂けて感涙してしまいそうです(泣)いつも影ながら応援しています!そしてこの作品を応援して下さり本当にありがとうございました! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 虹野原さん» そして貴方様のような素敵な方に読んでもらえて心の底からこの作品を作ってよかったと思います!今後においてまた作品を作る機会では貴方様の応援を糧に全力で頑張ります!本当にありがとうございました! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2021年2月6日 18時