37話 ページ39
「うっぜぇな…別にどこも怪我してないですよ、みんな慌てすぎ…」
「じゃあ何で高峯は泣いているんだ？」
「事情は単純ッスよ、仙石くんに返礼祭参加するのかって聞かれたんスけど、参加は無理だなって、けど本音を言えば参加したいッス」
尊敬する先輩である鬼龍くん、そして私たちへのお礼をしたいという
「立派な姿で先輩たちに安心して卒業してもらいたいッス、そのための返礼祭ッス」
返礼祭に対しての想いを同じクラスの翠に相談したところ
無理、嫌だ、面倒くさい、何で俺が…という返答
「聞き飽きたッスよね、この1年で」
間違ってアイドル科に入っちゃったし他の子と比べると翠の意欲は低い
それを承知の上で千秋は空気を読まないフリまでして翠をステージに上げてきた
毎週火曜日は千秋と私で翠の教室まで行って
レッスンに誘ったりしていた
「そんな俺たちの『いつも通りの日常』は永遠に喪われるんスよ？こんなに優しいヒーローが側に居てくれたのに『鬱だ、死にたい』って何がそんなに不満なんスか！？」
「遠くから応援することしかできないのは歯がゆいが、ここで手を出してしまえばお前たちのためにならない！」
黙ってその話を聞いていた千秋がようやく話し出す
しかもかなり笑顔で…
「だから南雲、高峯、仙石！俺を殴れ！何か不満があるなら俺に全部ぶつけろ！痛いのには慣れている！」
鉄虎くんが本気で殴ったらたぶん千秋死んじゃう
そして鉄虎くんが喧嘩までになった経緯を話し出す
翠が返礼祭に後ろ向きなのはその日に店の手伝いがあるという
返礼祭に合わせて商店街で屋台などを出すらしい
「でもそれは翠くんにしかできないことッスか？」
翠はいつも嫌だと言いながらも店の手伝いを頑張ってきた
翠のお兄さんは弁護士になる為に司法の勉強をしてるって言ってたし
優しい翠だからこそ、お兄さんの為に自分がやらなきゃって思ってるんだろうな
「1年間お世話になった流星隊の先輩たちに…1年生としてお礼する機会はもう二度とこないッス、俺と翠くんと忍くんの3人にしかできないんスよ」
そういう理由があったのか…
なぜ八百屋を優先するのかということが発端
「面と向かって先輩たちに『1年間ありがとう』って伝えるのが照れくさいから？恥ずかしくて嫌なことは避けて通りたいんスか？」
「＿＿＿だとしたら軽蔑するッス」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 54人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：愛音 | 作成日時：2018年5月8日 0時
