■ Haitani Ran ページ1
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○ 灰谷蘭 +12 梵天軸
「Aちゃ〜ん♡ 入れて♡」
この甘ったるい神経を逆撫でするような声、家までわざわざ来る図太い神経。ドアを開けなくても誰が来たかなんて分かっている。
ドアを開けると、灰谷蘭がニコニコと笑いながら手を振って立っていた。
外は雨だったせいか、蘭はびしょ濡れ。
質のいい高そうなスーツが雨に濡れて型崩れしそうで心配になる。
いつもピシッと固めている髪は雨で濡れて崩れていて、それすらもどこか色っぽく感じる。本当の意味で水も滴るいい男だな、なんてくだらないことを考えていた。
「なんで?」
「濡れちゃったし、蘭ちゃんが家に帰るまでに風邪ひいちゃったら大変だろ〜?雨宿りさーせて♡」
「えぇ……」
別に雨宿りなら適当に店に入れば良いし、泊まる場所なら体だけの関係の女とかの家に泊まればいいでしょうに。どうしてわざわざ私のところにくるんだこの男は。
「びしょびしょだから店には入りづれーし、スーツ
ちょっと甘えたような表情をされると、追い出すのにも何となく罪悪感が湧いてきていたたまれない。
自分の顔がいいことを自覚して、それを上手く使っていることに何となく腹が立つ。
私はいつもそれで流されてしまう。
別に彼とは特別な関係ってわけじゃない。ただ学生時代に知り合って今も関係が続いてるってだけ。ただの友人と知人の間のような関係。私が彼に尽くす義理などないし、彼が私に固執する理由もない。
はぁ、と深い溜息をつきながらも彼を玄関に入れる。
「玄関で待ってて、タオル持ってくるから。濡れたまま上がんないでよ」
適当に棚からシャツを1枚、ズボンを1枚選び、バスタオルとフェイスタオルを1枚ずつ手に取る。
玄関をぼんやりと眺めて待っている蘭にバスタオルを渡し、頭にフェイスタオルを被せる。
「髪、拭いてくんねぇの?」
私の方立っている位置は段差があって、この段差があってやっと蘭と視線が同じくらい。いや、それでもちょっと私の方が小さいか。
目の前にある綺麗な顔。眠たそうに垂れた紫色の瞳。
可愛らしく甘えたような目で見つめられる。
こうして近い距離で見ると改めて蘭が綺麗なことを実感し、何となくドキドキする。
「……ほんとに顔だけはいいよね」
心音を誤魔化すように視線を逸らしながら、強めに蘭の髪を正面から両手で拭いた。
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Alice(プロフ) - きなこだいふくさん» 最後までお付き合いいただきありがとうございました…!そんな風に言っていただけて嬉しい限りです…!続編を作るかもしれないので、もし作った際はぜひよろしくお願い致します♡ (2022年4月2日 17時) (レス) id: fa28fe383f (このIDを非表示/違反報告)
きなこだいふく(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても面白い話がたくさんあり、私自身とても楽しく読み進めることができました。こんな神作をありがとうございます!そして、更新お疲れ様でした! (2022年4月2日 11時) (レス) @page46 id: 90c5be706c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Alice | 作成日時:2021年9月19日 20時