キ ミ の 特 等 席 【橙】

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【side You 】





いつも通り、バイト中の私。

外は雨。



ここ最近、雨続きで嫌になっちゃうな。


今日はお客さんの入りも少ないため
店番は私ひとり。


お客さんも居ないし、
とりあえず掃除だけでもしようかな〜なんて、

申し訳程度に始める。




『うわぁ、本降りになってきたなぁ…』




窓の外を眺めながら、
はぁ、と軽くため息を零す。


すると……




チリリン……




お客様のご来店だ。






『いらっしゃいま……ジェルさん？！』

ジ「…よ、よぉ…A…」






雨のせいでなのか、
びちょ濡れのジェルさんがそこに立っていた。

私はすかさず、タオルを持って
彼に近づく。



触れれば冷たくって。

なんでこんなに濡れて来たのか分からなくって。



私はとにかく、
彼に数枚タオルを渡した。





『何やってるんですかっ…
こんなびちょ濡れで…風邪ひいちゃいますよ』

ジ「ご、ごめん……」

『暖炉あるんで、そこで温まってください…』





今日の彼はどこか違った。

いつも自信に満ち溢れてる彼とは大違い。


雨に濡れた子犬みたいな感じ…





『どうしたんですか？今日は』

ジ「えっと…編集しに来たんよ！」

『手ぶらでです？』

ジ「ち、ちゃうねんっ…」





いつもの余裕そうな
大人な感じの彼はどこにも居ない。


……どうしたのかな…






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