紅い眼の陽炎

２７話 ヨコハマ ギヤングスタア パラダヰス ページ29

Aside

谷崎「すンませんでしたッ！」

敦「へ？」
貴「？」



あの入社試験の後、僕達は連れだって探偵社がある
高層建物(ビル)の１階にある、迚も落ち着く
喫茶店─うずまきというらしい─に来ていた。


そこで行成(いきなり)入社試験では犯人として演じていた
谷崎さんに机に頭をぶつけるんじゃないかという程の
勢いで頭を下げられた。


つい作り笑いをしてしまったが大丈夫だろうか。

正直何故謝られたのか理解できない。



谷崎「その、試験とは云え、随分と失礼なことを」

敦「ああ、いえ。良いんですよ」



なんだ、ただのいい人ですか。←

眉も下げて口角も下げて弱々しく云う彼はただの
いい人でありました。


あれも仕事なのだから何を謝ることがあるんだと
国木田さんは云うが、そこに太宰さんの国木田さん
弄りが入る。



太宰「『独歩吟客(どっぽぎんかく)』！」

貴「ふっ…『独歩吟客(どっぽぎんかく)』…っ！」

国木田「やめろ貴様ら！」



カッという効果音がつきそうなくらいにキメる太宰さん。

ちゃんと姿勢(ポーズ)も再現しているようで
眼鏡を抑える手や、バッと広げた腕はそっくりである。


つい僕も吹き出した挙句のってしまった。←

だって面白かったんだもの。←


あれは事前の手筈通りにやっただけで、と
言い訳がましいことを態々(わざわざ)ガタッと
立ちあがりながら云う国木田さん。


御免なさい、弄ってしまって。

ああ、これだけ云わせてください。

貴方、弄りがいのある人ですね。←


却説、国木田さんが漸(やっ)と落ち着き、
席に座ったところで話を再開する。



国木田「ともかくだ、小僧に小娘。

貴様も今日から探偵社が一隅。
ゆえに、周りに迷惑を振りまき、
社の看板を汚す真似はするな。

俺も他の皆もそのことを徹底している。
なあ太宰」


太宰「あの美人の給仕さんに
『ﾀﾋにたいから頸絞めて』って頼んだら
応えてくれるかなあ」


国木田「黙れ迷惑噴霧器」

貴「ぷふっ、迷惑…噴霧器…っ！

何故太宰さんに話を振ったのです、
国木田さん…っ！」



本当に国木田さん面白いですね。←

それにしても…本当に周りに迷惑を振りまかないと
徹底してるんでしょうか。


現在進行形で迷惑を振りまく漫才上司二人組…。


大丈夫かな、この職場…。

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