紅い眼の陽炎

２６話 或る爆弾 ページ28

Aside

何処が怖いというのだろうか。


何方(どちら)かと言えば太宰さんの
光のないその瞳のほうが怖いです。←



貴「それで社長さん、結果は如何(いかが)なさいますか」

福澤「………太宰に一任する」



ああ、よかった。
稼ぎ口ができました。


これであとはあの家でダラダラしてるであろう三人組(トリオ)だ。


それにしても漸く気づきましたか、中島さん。

中島さんに太宰さんが斡旋する仕事。
それはこの『武装探偵社』であるということ。



ナオミ「うふ、よろしくお願いしますわ」

谷崎「い、痛い。そこ痛いってば。
ナオミ御免、御免って！」



犯人だった人は谷崎潤一郎。
能力名は『細雪(ささめゆき)』。

人質だった人はその妹、谷崎ナオミ。


そのナオミさんの側にはマネキンの腕が一本。

あの時中島さんを押して釦を押させた犯人である。


うふふ、と笑いながらそれを中島さんに振るナオミさんの
真似は絶対にできない。



敦「ぼ、僕を試すためだけに…こんな大掛かりな仕掛けを？」

貴「漸く理解が追いつきましたか中島さん」

太宰「この位で驚いてちゃ身が保たないよ？」



ねー、と笑い合う僕達を見て某黒い躯(からだ)の害虫のように
カサカサカサ、と後ずさる中島さん。


やめてください、駆除したくなります。←


手を前に出して青ざめた顔で
こんな無茶で物騒な処は無理だと拒否する中島さん。

そんな中島さんの声を聞いて、
無理と云うなら強制はできない、と中島さんに
希望を持たせるも、社員寮を引き払わないといけない、
と一気にドン底に突き落とす太宰さん。


いい性格してますよね、太宰さん…。←


あと寮の食費と電話の払いもあるけど…大丈夫？と
太宰さんは云うも、先日迄彼は無一文の孤児。

大丈夫なはずが無く、中島さんは徐々(じょじょ)に
その目に涙を浮かべ、そしてそれを流した。


そう、元より彼に選択肢などないのであった。

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