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目が覚めると、清潔な部屋の天井だった。
「……ここは…」
クシナ「目が覚めたってばね?!!看護婦さーん!!」
「うぐっ」
寝起きに元気な声が響き、眉間に皺を寄せるとドアが開く音がした。
「く、クシナ先生…?」
クシナ「よかった…よかったってばねー!!このまま目が覚めないんじゃないかと思ったってばね!よく、生きて帰ったわ。ヒナミ」
「先生……レンくんは、ハヤトくんは、リンちゃんは、カカシくんは…?」
医師「ふぅ…落ち着いて聞いて下さい。レンとハヤトとリンは、殉職しました。カカシも君も生死を彷徨った重症だよ」
「そう…ですか………」
クシナ「…フガクさんから伝言よ。ヒナミ君よく生きて帰った。ですって」
「ありがとう、ございます…」
医者「良かったです、目が覚めて。危なかったんですよ、内臓破裂の危険もありました。明日、検査を行いますので」
「はい……」
暫く入院生活を送りつつ、ぼんやりと外を眺めているとドアのノック音が響いた。
「…どうぞ……カカシくん」
カカシ「ヒナミ……ごめん。リンを殺したのは、俺だ…」
「…」
カカシ「ごめん…」
「あの時…オビトくんのユウレイが助けてくれたのかな…」
カカシ「え…」
「なんて、そんな訳ないね…。カカシくん」
カカシ「……うん」
「こっち、おいでよ」
ポムポム、とベッドに腰掛けるよう促す。
カカシ「……」
ずっと呆然とした様子のカカシがふらふらと歩み寄り、隣に腰掛けた。
ふわふわとした銀色の髪の毛に手を突っ込み、ぽんぽん頭を撫でる。
「生きててくれて、ありがとう」
カカシ「ッ……!俺なんか…」
「聞いたよ。霧隠れの三尾がリンちゃんの中に入れられてたんだよね…」
カカシ「あぁ……」
「……リンちゃんは里を、みんなを守る為に亡くなった…とっても心が強い、優しい女の子だよ…。きっと天国でも、カカシくんの無事を祈ってる…そういう子。カカシくんも知ってるでしょう?」
カカシ「ッ…でも、リンの心臓を貫いた感触が…!消えないんだ…いくら洗っても…」
右手を押さえて縮こまるカカシは、雨の日の迷子の子犬のように見えた。
震えている体を抱きしめると驚いたようにピクリとより一層縮こまった。
「だいじょーぶ。落ち着いて、深呼吸だよ」
だんだんと呼吸のリズムと脈拍が安定してきているのを感じる。顔は見えないけど少し良くなっただろうか。
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作者名:瑠威 | 作成日時:2023年4月21日 14時