AUの見張り人とファン【AU】

16.蜘蛛の巣 ページ16

なかなかやる人間だ


なんせ、私の攻撃を表情変えずに受け止めるのだから


…それどころか少しの隙まで見つけて攻撃してくる


ただの主人公…フリスクじゃない


「貴方は何が目的…。私は貴方が手を出さない限り殺す気は無い」


『嘘つけ。思いきり殺す気でナイフ飛ばしてきてる癖に』


「邪魔をするから」


『それより貴方の目的を教えてよ』


応戦しながら会話を交わす


私の目的…


それを言えば彼女はどいてくれるだろうか


「私の目的は……生きる意味。モンスターを、殺すこと。それだけ」


『え〜？なにそれ。殺すのが楽しいからじゃないの？』


「楽しい……そんなの、知らない」


『そりゃあ損してる。私だったら教えてあげるよ〜？殺しの楽しいところ♪』


ﾋﾟﾀｯ


その言葉に私は攻撃する手を止める



「楽、しい…ところ……？感情、を…？」


『？うんうん。だから、さ。この対決は後回しにしない…？嫌なもの、殺す必要のあるもの、ぜーんぶ壊してから…！！最後に殺り合おうよ……？』


ﾄﾞｸﾝｯ


私の中で何かがグルグル回る


彼女は他の生き物と違う


彼女は私の、本当に欲しいものをくれる


私を



変えてくれる


「ほん、とう…？」


『本当だよ』


その言葉は蜘蛛の巣のように私の耳に絡み付いて離れない


抜け出せない


まるで薬への依存のように


彼女から目を離せない


私には出来ない笑顔をニッコリと向け、こちらに手を差し延べる彼女


生きる意味には関係ないのに…


彼女に楽しさなんて教えてもらわなくても生きる意味は果たせるのに


私は…





私は、彼女手を握った

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