コミュ力革命【衣更真緒】 (ページ45)

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44話ページ45

「はい、終わりー」

鏡の自分を見るとまるで別人だった

　

『ありがとう』

ピンポーン♪

「王子様のお迎えかなー？？？」

　
はあ、うちの母のテンションおかしい

下駄を履き、ドアを開ける

　

『真緒くん…』

そこには甚平を着た真緒くん

　

衣「よ、よぉ…」

ヒョイッと片手を上げる真緒くんはどこか上の空で

『どうかした？…あ、似合ってないかな』

衣「いやいやいやその逆！」

顔を少し赤らめながらそう言った

『ほんと？』

衣「うん、すっごい似合ってて…その、可愛い…」

　

髪を軽くかきあげ、そっぽ向く

真緒くんが照れてる時の癖だ

　
『真緒くんもすっごい似合ってるよ！』

衣「んじゃ、行こっか」

　

手を差し伸べられ、迷わず握る

　

お祭り会場に着くとたくさんの人であふれかえっていた

衣「何か食うか？」

『りんご飴！』

2人でりんご飴を持って花火が綺麗に見えると言われる場所まで行く

　

　

衣「暗くなってきたな」

『うん…』

花火が打ち上がるのを待つまで思い出に浸る

　
衣「俺さ、まさかAとこうして過ごすなんて思いもしなかったよ」

『私もだよ。あのアイドルの真緒くんと一緒にいれるなんて』

どんな確率で巡り合って結ばれたんだろう

　

衣「どんな時もAに励まされてきたんだよなあ…誰かから嫌われるのが怖くてイエスマンになってたところをAが助けてくれたり、下積みの時だってずっと…」

真緒くんがそう言った瞬間、花火が打ち上がった

　

『綺麗…』

衣「だな…」

　

『さっきなんて言おうとしたの？』

衣「いや、いいよ」

花火を見上げながら語る真緒くんの横顔を

そっと盗み見た

　

下積み…

あの時の真緒くんの顔とは違う

目がとてもキラキラしていた

　

そんな真緒くんをこれからも側で応援したい

花火を見上げながらそう誓った