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裏路地のバー。END ページ34

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長い月日が経った。





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アンソニーが死んだ。



いろんなところで恨みを買っていた男の最後は、病によるものだった。



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「あれ、てっきり来ないかと思ってた。」



イザ兄がいつものように話しかけて来る。




「兄様たちこそ、来るとは思いませんでしたわ。』



長い沈黙の後、アント兄様が答える。




「…いくら憎んだ相手だろうと、俺たち兄弟をこの世に生み出した父上であるのは変わらない。」



「……Aも、そうでしょ?」




『…全く、異母兄弟でも似るものですのね。』



「Aのかーちゃんはアリス・ルマス!俺らのかーちゃんと一緒!」



墓の前で話す四人は、どこか似ているように感じる。


Aの兄である三人は、墓の上に乱雑に花を投げる。



『……オトギリソウなんて、御趣味が悪いですこと。』



「Anche se sono grato, non ho amore. Non è giusto?
(別に感謝してるわけでも愛があるわけでもないからねぇ。ちょうどいいんじゃない?)」




「そういうAはフクジュソウ?へぇ…。いいんじゃない?」



Aは墓にフクジュソウをばら撒く。



『ほら、素敵に飾り付けられたんじゃない?』



「いい性格してるねぇ。」



『お兄様譲りですわ。』



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「アント!ソニア!イザト!A!」



『あ、母さんだ。』



「A、明日また松…山さんとこ帰るんでしょ?もっといて欲しいのになぁ。」



「松野ね。」



『私がいないと…寂しがる人達がいるから。』



「あー!僕には彼女できないのに!なんで兄さんたちにはいて僕だけ!」



四人は笑う。まるで墓の存在など忘れているように。



もう一度自分たちの名前を呼ぶ声が聞こえる。



四人の兄妹はそのまま走り去っていった。





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墓の前に立つ女性が一人。




「…………無様ね。」



その女性はブロンドのロングの髪をたなびかせ、丁寧に墓前に花を置く



まるで血を思わせるような真っ赤な菊。



それによく映える白いカーネーション。




それらをバランスよく飾ると、プロンドの女は満足そうにその場を立ち去った。



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その横顔は、まるで………






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マレイド(プロフ) - サクラさん» ありがとうございます!完結できるよう頑張ります! (2018年3月1日 18時) (レス) id: cc8dab3ec0 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - 更新楽しみに待ってます! (2018年3月1日 13時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
マレイド(プロフ) - 千代松さん» ありがとうございます!これからも頑張ります! (2018年2月21日 19時) (レス) id: a2b6ddf51f (このIDを非表示/違反報告)
千代松 - 面白いです!更新頑張ってください!続きを楽しみにしています! (2018年2月21日 17時) (レス) id: 4b0b8ba6fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マレイド | 作成日時:2018年2月19日 10時

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