裏路地のバー。sedici ページ21
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「やきうしよ!」
朝、唐突にそう告げられ、わたしは首を傾げる。
『やき……なんですか?』
「やきう!」
やきう、というものには聞き覚えがなく、
首をかしげるばかりの私にトド松様が助け舟を出してくださる。
「野球、 だよ十四松兄さん。Aちゃん。
『なるほど、十四松様はbaseballが好きなのですか?』
「うん!俺baseball大好き!一緒にやろ!」
『……わたしは構いませんが、やり方がわかりません…』
十四松様はわたしの手を握ってぶんぶんと降る。
「俺が教える!トッティもやろ!」
「僕はいいや。十四松兄さんとAちゃんの二人で行って来なよ。」
トド松さんがこそ、と耳打ちしてくる。
「十四松兄さんの野球、止めない限りずっと続くから、いいところで切り上げて来なね。」
『かしこまりました。』
着替えてくるので、お待ちください、と告げ、部屋に入る。
baseballは運動なので、動きやすい服に着替え、いつもより武器の数は少なくする。
ナイフを服の所々に仕込み、十四松様のところへ向かう。
「おれ、本当は河川敷とかでやりたいんだけど、流石にダメって言われちゃって。
兄さんが地下に野球場作ってくれたんだ!」
そう言われて案内されたのは、地下にある野球場。
『……初めて見た…』
十四松様はというと、すでに私を放っておいてバットを振っている。
しょうがないので野球場の端に座ってバットを振る彼を眺める。
『楽しそう…野球は全然知らないけど、野球場の中でバットを振るだけの競技?』
なんとなく違う気もするので部屋に戻ったら確認しよう、なんて考えていると
いつの間にか二時間がすぎ、私はボスに呼ばれていたのを思い出す。
『……あ、いけない。いま何時だろ。』
腕につけた時計を確認すれば、あと30分と言った所だろうか。
いつのまにかバットを振る数が二千を超え始めていた十四松さんに声をかける。
『十四松さーん。そろそろ戻りましょう。ボスがお呼びですよー。』
私がそう声をかけると、十四松さんは飛びついてくる。
「はーい!ねえねえ!楽しかったッスか?」
『はい。楽しかったです。』
彼の方が年上なはずなのに、なんとなく母性のようなものを感じる。
「じゃあまたやろう!ね!約束!」
ん!と小指を出してくる十四松さんに、わたしも指を絡ませる。
「『約束!」』
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マレイド(プロフ) - サクラさん» ありがとうございます!完結できるよう頑張ります! (2018年3月1日 18時) (レス) id: cc8dab3ec0 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - 更新楽しみに待ってます! (2018年3月1日 13時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
マレイド(プロフ) - 千代松さん» ありがとうございます!これからも頑張ります! (2018年2月21日 19時) (レス) id: a2b6ddf51f (このIDを非表示/違反報告)
千代松 - 面白いです!更新頑張ってください!続きを楽しみにしています! (2018年2月21日 17時) (レス) id: 4b0b8ba6fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マレイド | 作成日時:2018年2月19日 10時