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「ごめんなさい。北山がちょっと酔っちゃったみたいなんで、先にホテルに連れて帰りますね。」

「え?大丈夫ですか?」

「あ、大丈夫です。皆さんは、せっかくなんでこのまま楽しんで下さい。」

「何かあったら、連絡してね。」

「ありがとうございます。おやすみなさい。」





俺がスタッフ達と話している間も、項垂れて何も言わない北山

皆におやすみ〜、と送り出され、北山の肩を抱き抱えるようにして外に出た





「大丈夫か?」

「ん…」





きっと、北山は酔ってはいない

店の外に出て抱いた肩を離せば、俯いたままだがしっかりとした足取りで、俺の腕を離れてゆっくりホテルへと歩き始めた





「北山。」

「ごめん…。」

「いや…。大丈夫か?…なんか、あった?」





北山を追うようにゆっくりと歩きながら、背中に向かって尋ねる





「……ちょっと羨ましくなったかな…へへ…」





チラチラと見える横顔が、月明かりに照らされ白く光って見える

まだ、涙でぬれているからだろうか…





「羨ましいって…さっきの写真?」

「ん…かな。…へへへ…。」





そんな…泣きそうな顔で笑ってんじゃねぇよ…

お前…何を考えてんだよ…





「…お前、昼間モテるって言ってたじゃん。お前だって、いつかは…」

「無理だよ。」

「え?」

「…俺は家族を持っちゃいけないんだ。」

「…どう言う事…?」

「…もう誰も…好きにならない。」

「北山…?」

「ごめんな、送ってくれてありがと。」





気が付くとホテルは目の前

ゆっくりと振り返った北山は、ぎこちなく俺に笑って見せた





「おやすみ、藤ヶ谷。」





遠ざかって行く背中…

それはいつもよりも小さく…頼りなく見えて…

初めて抱き締めてやりたいと思った

震える背中を暖めてやりたいと…





「北山っ!」

「…ん?」

「…あ、明日も頑張ろうな!」

「……うん。」





月下に咲く小さな花の様な笑顔に、感じた小さな胸の痛みが消えていく





その柔らかい笑顔を守りたい…

お前の涙をこの手で拭いたい…

俺が…お前の傍で








.

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作者名:MISA | 作成日時:2017年12月7日 13時

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