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母は生粋のキャリアウーマンだった。

仕事が好きで兄が生まれてすぐに兄を自分の母(私でいうところの祖母にあたる)に

兄を預け仕事に復帰した。母は仕事の関係で遅く帰ってくるような状態だった。

祖母は、名字がつげる男の初孫である兄をとても可愛がった。

それはもう…なんでも買い与え、好きな場所に連れて行ったりと溺愛した。

当時の母の思考は今となんら変わってない。

そうそれは、「子供は殴って言うことを聞かせる」というもの。

つまり、兄にも暴力をふるっていた。

兄からすれば、“遅くに帰ってきて殴る人”という認識になったわけだ。



“自分のことを溺愛してくれる人”


“碌に世話もしないのに殴ってくる人”



どちらに懐くなんて火を見るよりも明らかだった。

母は激怒した。自分は最高の母親だと自負していたのに、

子供がなつかなかったから。


だから考えた。

自分が育てなかったから懐かなかったのだと。


だから




“次の子供は自分で育てよう。母より私の方が母親として優れていると証明するために”






そう、考えた。


私はただの証明書として産まれたのだ。


母に目の前で言われた。


血走る目をした母の手に握られていたのはIQテストの結果。

私のIQは兄よりも劣っていたのだ

兄はIQ160を超える天才。私も一般で言えば高いと言われる方らしいのだが

兄と比べるととても霞んで見えた

母はそれが気に食わなかった

わざわざ自分が仕事をやめてまで育てたのに兄よりも劣っていた


「あんたみたいな出来損ない生まなきゃよかった」

「気持ち悪い」

「死ねばいいのに」


そんな事を殴られながら言われた

その時は何も思はなかったのだけど

今、考えれば多分私は限界だったんだと思う

次の日、私は学校の二階から飛び降りた

ただ、ふと飛びたくなったから

理由も特に考えず。ただ飛んでみた

クラスメイトも窓辺に立った私を見て


「飛べば?」


ただ、そう言った

だから、飛んだ。

落ちる景色が近づく小学校の敷地内のアスファルトが

ゆっくりに見えた。

風が気持ちよかった。






でも、死ねなかった。





「あぁ、人って二階くらいじゃあ死ねないんだな」


齢7歳で知った。

そのまま普通に私は授業を受けた。

足はジンジンと痛んだが母親に殴られているときほど痛くなかった。

だから、手当もしなかった。

そもそも怪我を手当てすること自体したことがなかった。

怪我は当たり前だと思っていたからである

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萩野千紗 別アカ - めるさん、しんどい時は逃げていいんですよ。世界に一人だけのあなたなんですから。ただ、死なないで下さいね。ここには味方が沢山います。   長文失礼しました。 (9月2日 9時) (レス) @page9 id: 3f29d12f72 (このIDを非表示/違反報告)
らむね(プロフ) - 完結…? (2022年8月28日 22時) (レス) @page9 id: 5fc4c4d6bd (このIDを非表示/違反報告)
メア - もうこのお話は更新しないのですか?とても気になります。出来ればでいいのですが更新して下さると嬉しいです。 (2022年5月29日 0時) (レス) id: c274c7e6ff (このIDを非表示/違反報告)
太陽 - める様のしてくださっていることに感謝しています。逃げることも戦う術、ということを忘れず前に進んでください。長文失礼いたしました。 (2022年5月23日 2時) (レス) id: 00a65b8235 (このIDを非表示/違反報告)
太陽 - 所詮、社会的弱者は何もできないんです。そんな中でもめる様のように、周りをもう少し見てあげてほしいという呼びかけをしてくれると救われる方はいると思います。この作品を書いてくださってありがとうございます。少なからず私はめる様の味方ですし (2022年5月23日 2時) (レス) id: 00a65b8235 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:兎森 める | 作成日時:2022年4月9日 23時

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