にじゅうに〜 ページ22
「Aはどう？よく笑ってる？」
「えぇ、まぁ……」
「時々こわいでしょ？」
「そうですねぇ、もう慣れましたけど」
「サイドキックとしては優秀？」
「……はい、とても」
そっか、と兄は淡々と続けていた会話を止めて、少し声のトーンを落とした。
「Aは、本当は独立してヒーローをするつもりだったって、知ってる？」
「……ええ」
そっか。そう言った兄の表情は曇っていて、水が沸き始めていたコンロの火を消す。
──どこの馬の骨かわからんやつのサイドキックをするだと？？ほざけ、お前はヒーローになるために私たちが育てたんだぞ！！？？
──貴女、いくら学校を主席で卒業したからって調子に乗るんじゃないわよ！？？いい加減にしないと、ここから追い出して縁を切るわよ！？？
──私は独立したヒーローではなく、身をもって捧げたいと思うヒーローの元で生きることを決断しました。
家を追い出す？元々そのつもりでしたよ。今までお世話係、ありがとうございます、母上、父上。
高校卒業の日、Aがホークスを彼女の実家に1度だけ呼んだ日のこと。
剛翼を使うことなく聞こえてくる怒鳴り声とAの冷淡で平坦な声は、これから先もずっと忘れることは無いだろう。
「……僕さ、キミには感謝してるんだ〜」
紅茶を入れたティーポットを机に置き、椅子に座ると肘を机に置いて目を伏せた。
「Aはさ、昔から僕や弟よりも期待されて生きてきてた。その割に家事も僕達より多くさせられていた。
Aが個性を使う訓練をしている間に僕らは勉強を。家事をしている間に僕らは食事を。勉強している間に僕らは睡眠を」
ティーカップに紅茶を注ぎながら、兄は話し続けた。その姿は立て板に水を流し込むようにも思えた。
「ホークスくん。あの子はね、とても怖いんだ。両親も、僕も弟も彼女のことを知らなすぎる。
Aは親友も、友達すらもいない。特定の誰かと仲が良いという人物に当てはまるのは、彼女にとって君だけだ。
僕は嬉しかった。Aが変わって。
でも同時に心配で、だから君にはこれだけ言わせてもらいたかった」
紅茶をいれたティーカップをホークスの目の前に置き、彼は"あの表情"をして一言。
「何があっても、Aに踏み込んではいけない」
わたあめが固まる音。ホークスはその時、初めてこの兄がAの兄であることを理解した。
「……それは、俺が決めるんで」
ヘラりと笑って、彼はティーカップに口をつけた。
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桜芽杏(プロフ) - えだまめさん» ひぇ〜嬉しい……！！ありがとうございます！！実はガチの趣味で書いていた物をその場のノリで載せ始めたので、こうして好きと思われて読んでくださることにとても喜びを感じます……！クライマックスも近いですが、どうぞ最後までお付き合い下さい！！ (2020年4月18日 18時) (
レス) id: 4e2ed4ed51 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめ(プロフ) - 好き…………好きです…………ちょっと不器用なホークスも可愛いのにカッコイイ夢主も雰囲気が独特なお兄さんもそれぞれを表現している桜芽杏さんの透明感のある文章も全て好きです応援しています…… (2020年4月17日 21時) (レス) id: 4f7195255d (このIDを非表示/違反報告)
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