にじゅうさ〜ん ページ23
その後、兄は軽く粥を作った。
「Aほど器用じゃないけどね」と苦笑する姿を見ながら粥を口に運んでいると、長い桃色の髪を耳に掛けながら柔らかく微笑んだ。
「君は本当にいい人だね」
「はぁ……なぜ？」
「ふふ、人をちゃんと見て、警戒してる」
それからしばらく、兄は何の変哲もないことを話し続けた。最近の流行り、波に乗ってる芸能人、今彼が通っている大学の話、彼が無個性だという話。
「僕はね、別にヒーローに憧れてもなかったし、無個性を悪い事だとは思ってなかったんだ。
でもね、やっぱり無個性だと大変でさ。唯一の取り柄が勉強出来ることとルックスがいい事だけで、それ以外の事で褒められたことがまるで無い」
「ルックスがいいことは自分でも認めてるんですね」
「まぁね、Aも綺麗だろう？」
「……おしゃべりな所とか取り柄なんじゃないですか」
わざとらしく笑うと、兄は困ったように笑い返す。
「君は話を逸らすのが上手いね。……話したいことも話せたし、そろそろ帰るとするよ」
話しすぎて君の体調が悪化したら、なんて言われるか分からないから。
そう言いながら彼は黒いコートを羽織り、玄関へと向かう。彼の後を辿っていくと、Aと同じ砂糖のような甘い匂いがした。
「Aによろしく言っておいてね。あと、体調にはお気をつけて」
「こちらこそ、お昼ご飯とお話ありがとうございました。また機会があった時にお礼させてください」
「……ああ、よろしく頼むよ」
そう言ってさわやかに笑い、兄は玄関を出た。
その後ホークスは素直に寝ようとしたが、ベッドで再び寝るのは気が引けたためソファに横になっていた。それでもAの甘い匂いが残るソファで横になるのは、少し抵抗がある。
腹が充たされたせいか、時が経つにつれ睡魔が襲う。目が覚めた時には、毛布がかけられておりAが水槽に餌をやっていた。
「体調はどうですか〜？ホークスさん」
「うん、だいぶ良くなったよ、本当にありがとう」
Aにより洗われたヒーローコスチュームを着て、ホークスは玄関まで歩いていく。
「まだいてもよかったんですよ？」
「いや、熱も下がったしそろそろ仕事したいから。
……あ、お礼したいんだけど、明後日とか空いてる？」
──いやはや、困ったね。
大学の研究室、1人彼は資料に目を通しながらAの家を思い出していた。
あれほど大量の監視カメラと盗聴器は、防犯用に付けられたものなのか。
「もしくは……」
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桜芽杏(プロフ) - えだまめさん» ひぇ〜嬉しい……！！ありがとうございます！！実はガチの趣味で書いていた物をその場のノリで載せ始めたので、こうして好きと思われて読んでくださることにとても喜びを感じます……！クライマックスも近いですが、どうぞ最後までお付き合い下さい！！ (2020年4月18日 18時) (
レス) id: 4e2ed4ed51 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめ(プロフ) - 好き…………好きです…………ちょっと不器用なホークスも可愛いのにカッコイイ夢主も雰囲気が独特なお兄さんもそれぞれを表現している桜芽杏さんの透明感のある文章も全て好きです応援しています…… (2020年4月17日 21時) (レス) id: 4f7195255d (このIDを非表示/違反報告)
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