七十古稀 ページ17
「ヘーーーーーイ俺様ふっかつぅ！！！」
「おめでとうパパー」
Aの個性により一日で退院出来たマイクは「よし！」とAと目線を合わせた。
「A、買い物へいこう！」
Aは小学生二、三年生の見た目をしている。これまで孤児院から送られてきた服やマイクが買った服をAに着せていたが、そろそろ服を買う時の「プレゼント用ですか？」「あ、違います」と言った時の不可思議な店員の目が辛い。
なにより、二人で外出したことがないマイクにとって、親子での買い物は憧れのひとつでもあったのだ。
「いや〜A〜可愛いぞ〜」
いつも通り左目を黄色いピンで隠したヘアスタイルで、フリルの着いた白いワンピースを来た姿をしていた。
「外に出るの？」
「ああ、怖いか？」
少し俯いて「大丈夫、たくさんお勉強したから」と少し不安げな顔で言った。
「パパはいつもの髪型じゃなくていいの？」
「ああ！ あれはヒーローの時にイケてるのをアピールするためのものだからな！ 今日はAとお出かけするだけだからいいんだ」
ゆるりとひとつに括られた髪は団子のようになっていた。お風呂上がりのパパだなぁ、と思っていると、Aはマイクに手を繋がれた。
「よし、いくか！」
Aはマイクの手を握り返し、小さく笑った。
ライダースジャケットのようなものを羽織ったマイクは、いつものようにAと話していた。ラジオのようにしゃべり続けるのではなく、会話のキャッチボールをして。
ショッピングモールへたどり着くなり、マイクはあちこちAを連れ回した。服屋、飲食店、アクセサリーショップ、ゲームセンター、映画館、本屋……全て小説やテレビでしか見たことのないものが、直に触れ、感じることが出来る。その感動を感じる度、Aは「すごい、すごいねパパ」と目を輝かせてはしゃいでいた。
何着か服を買い、少しマイナーな恋愛映画をたしなんで美味しいパフェを食べた後、マイクは最後の店へと赴いた。
「よし、今日はここ行ったら帰るぞー」
「もう？」
「もう、って……オイオイ、ここに来てからもう八時間は経ってるぜ？」
子供の探究心はすごいなぁ、と笑いながら店へ入っていく。しばらくAはマイクの隣に座り、店員の言葉を聞いてるだけであった。
「これは俺からのプレゼントだ」
と、渡されたのはスマートフォンだった。初めてのプレゼントに、Aはとても困惑していた。
同時に、過去で一番頬を緩めた瞬間でもあった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 377人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紫苑(プロフ) - うわああああ待って涙で前が見えないけどブラインドタッチィ―！うっうっ、涙腺が、涙腺が崩壊するたしけて (2月28日 17時) (
レス) @page47 id: 89604d43a6 (このIDを非表示/違反報告)
ただのらぁめん - 夜に読んでボロ泣きしました､､最ッッッ高でした (2023年4月2日 0時) (レス) @page47 id: 2cf0465f68 (このIDを非表示/違反報告)
San(プロフ) - 涙が止まらない素晴らしい作品でした（ ; ; ） (2023年3月1日 13時) (レス) @page45 id: b5216021f9 (このIDを非表示/違反報告)
rusya.(プロフ) - マイクパパｯｯｯｳｩｯｯ号泣。。素晴らしい物語に感化されました。ありがとうございました。。 (2022年12月13日 0時) (レス) @page47 id: f22ef2da16 (このIDを非表示/違反報告)
化け猫 - 涙が止まらないｯ!素敵な作品を作って下さりありがとうございます!生きてて良かったと思いました!(T^T) (2022年9月27日 16時) (レス) @page47 id: 7ab55173a1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
