十八番 ページ18
スマートフォンを持ち始めたAの成長速度と言ったら、それは人間の域を超えていた。
分からない言葉、行動、意味、物、事象、ありとあらゆるものを対象に検索を掛けては知り尽くそうとしていた。しばらくすると動画を見るようになっていき、特に小型の哺乳類に対して興味を示していた。
個性の診断に行ったが、やはり医者がみても「彼女の体の仕組みは人間とは少し離れている」とマイクに耳打ちをする程のものであった。
時々Aが個性を使おうとすると、マイクは「個性はあんまり使うんじゃないぞー」と注意をしていたため、A自身もそれほど積極的には個性を使わなかった。
マイクは、許可されていないと基本的に個性を使うことはいけないという理由。そして個性による体への負担があるかもしれないという理由をAに話した。
そしてAと出会ってから一年が経過した。彼女の成長速度と相まって、マイクは既に五年くらい一緒に住んでいるようにも思えていた。
「いや〜A〜、ほんとに背が伸びたな〜」
中学二、三年生ほどの体格になったAの成長は、二ヶ月前から急にピタリと止まっていた。ある程度の成長を得たら止まるのだろうか、と少し不安げになりながらも、彼女自身は特に変わりはなかった。
「お父さんのおかげだよ」
呼び方もすっかりお父さんに変わり、読んでいる本もハードカバーのものが増えてきていた。
「というかお前、それ日本語じゃなくね……？」
「ロシア語だよ。英語よりロシア語の方がなんかしっくり来た」
平然とした顔で、ハードカバーのロシア語いっぱいに敷き詰められた紙を一分に五ページめくる勢いで読み進めていく。
ソファの上で、マイクの隣にピッタリ近づいて座っていたAの横顔を見ながら「寂しいもんだなぁ」とマイクがふと呟いた。
「どうして？」
本から目を逸らしマイクの方へ顔を向ける。凛々しく、大人びた顔をし始めていたAのみぎ目は変わることは無かった。それでもAは昔と同じように、長い前髪を作って他方の目を髪留めで見えるように工夫していたのだ。
「お前がでかくなって、そのうち巣立っていくとなると、やっぱり親としては寂しいもんだろ？」
そう言うとAは「大丈夫」と立ち上がった。
「私は今でもここが一番好き」
そう言ってマイクの膝の上に座ると、また本を読み出した。百六十センチを超える大きさであったが、不思議と重くはなく、それどころかマイクにとっては心地よかった。
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紫苑(プロフ) - うわああああ待って涙で前が見えないけどブラインドタッチィ―！うっうっ、涙腺が、涙腺が崩壊するたしけて (2月28日 17時) (
レス) @page47 id: 89604d43a6 (このIDを非表示/違反報告)
ただのらぁめん - 夜に読んでボロ泣きしました､､最ッッッ高でした (2023年4月2日 0時) (レス) @page47 id: 2cf0465f68 (このIDを非表示/違反報告)
San(プロフ) - 涙が止まらない素晴らしい作品でした（ ; ; ） (2023年3月1日 13時) (レス) @page45 id: b5216021f9 (このIDを非表示/違反報告)
rusya.(プロフ) - マイクパパｯｯｯｳｩｯｯ号泣。。素晴らしい物語に感化されました。ありがとうございました。。 (2022年12月13日 0時) (レス) @page47 id: f22ef2da16 (このIDを非表示/違反報告)
化け猫 - 涙が止まらないｯ!素敵な作品を作って下さりありがとうございます!生きてて良かったと思いました!(T^T) (2022年9月27日 16時) (レス) @page47 id: 7ab55173a1 (このIDを非表示/違反報告)
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