空腹のグラトニー【アズール・アーシェングロット】

プロローグ ページ2

「 アズール、飯」

「 おはようございますAさん｣

「 アズール、め！し！」



飯を強請ったらアズールにガン無視された。
おはようございます、だなんて律儀な挨拶をして欲しいわけじゃない。そんなもん、した所でなんの腹の足しにもなりゃしない。



「 おはようございます」

「 おはよーナマズちゃん」


双子が顔を見るなり、ギョッとして目を見開いている。
なんだ、顔になにか付いていたりしたか？さっき鏡を見てきた時は特に何も無かったけど。


「 アズールがナマズちゃん泣かせたあー」

「 そのようですね。朝からか弱い相手を泣かせるなんて」

「 は？俺泣いてなんか……」


目元を拭うと確かにソコには涙が。
でもこれは別に泣きたくて流れてきたんじゃない、ちょっとばかし待ちきれなくて小魚を摘んだからそれで涙が出てきただけ。


すると、俺を置いて先に出ていったはずのアズールが早足で戻ってきた、眉間に皺を寄せて。



「 アズール、飯｣

「 小魚が一匹行方不明と耳に入れたのですがこれは一体どういうことでしょうか？」

「 アズール、飯をくれ」

「 無理だってアズール、ナマズちゃん食べること以外殆どやる気なんて起こさないんだからさあー、観念してご飯あげたらあ？｣



残念だったなアズール、フロイドは俺の見方だ。
観念して早く飯をーーー



「 なんだこれ」


手に渡されたのは濃い緑色の物体。ヌルヌルしてて味がしなさそう。


「 苔でも食べて静かにしてなさい」



どっ。と、後ろで双子がツボってる。
笑えない冗談だってのこんなの。



「 アズール、俺はさすがに苔は食わない」

「 小魚盗み食いした罰です」

「 まあいいや、食べてみる」

「 食べるなら文句言わないでください！」



味はしないし美味しくはないな、食べれなくはなかったけど。

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