空腹のグラトニー【アズール・アーシェングロット】

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ーーーモストロラウンジ


なんのお祭り騒ぎなのか厨房もホールもバタバタと大忙し。


そんな中、厨房の生ゴミバケツの上で皿を片手に咀嚼音を響かせる生徒が一人。
顔にはレモンの切れ端やバジルを付けて、手掴みでマリネを食するソイツに誰一人声など掛けやしない。



「 Aさん？貴方、こんな所で呑気に食事などいい度胸ですね？ 働かざる者食うべからず、味見なんてしなくて結構です｣


口調は丁寧なもののそろそろ血管が破裂しそうな程の怒りを笑顔に隠しているアズールが来た。
そんな彼を一瞥して、忙しそうな厨房を景色にまだ食事は続く。



「 おい、やっぱアズール来る前に無理にでも仕事させた方が……」

「 バカ言うなよ！下手したら俺ら食われるかもしれねぇんだぞ！」



完全に手を止めた輩が二人、此方を見ながらヒソヒソと会話しているのが聞こえてきて、アズールがきた時点で詰みだということを彼らは知らないようだ。

隣で説教を始めるアズールを他所に、完全に手を止めた二人に目線を送る。



「 やべ！聞こえてんじゃん！！」

「 ……って、ああ！それチリソースかけねえだろ！」



あった瞬間、動揺してからか飾り付けのソースを間違えたらしい。
ああ可哀想に、今日の厨房メインはフロイドだ。

ただでさえ、今は店内が混雑していて忙しいというのに。



「 ん」

「 先程から僕の話を聞いていますか？！」



空になった皿をアズールに押し付けて、重たい腰を持ち上げる。まだまだ腹は満たされていないが、マリネを作ってくれた分は手伝ってやらないと。



「 フロイドマリネありがと。エネルギー切れるまでなら仕事する」

「 ナマズちゃんおっせーよ｣

「 悪いとは思うから10人分程度なら働くよ」



話を聞かなくて怒っているアズールと、人に気を取られてミスをした二人の分まで、ね。

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