私の命を助けてくれた人はとある騎士でした (ページ4)

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私を助けてくれたのは… ページ4

父からの暴行を耐えていれば、気づけば夕方になっていた

私は今誰もいない道を歩いている

行くあても無く彷徨っていた

下ばかり向いていた顔をふと横に向けると、川が視界にに入る

その川は、深くて水が荒れていた

昨日雨が降ったのだろうか

ここでなら………

もうこんな人生に幕を下ろそう

この先、生きていても何もいい事なんてないんだから

自分がこれ以上苦しまない為にも

絶対今死んだ方が楽になれる

助けてくれる人なんて存在しないだろうから

もう一度、誰もいないか左右を確認してから

道路と川の間にあるフェンスに手を掛け、

足を掛けてフェンスの向こう側に立つ

荒れた川が私の目の前に広がる

きっと此処から飛び降りれば、泳げない私はすぐに溺れて死ねるだろう

やっとこれで楽になれるんだ

もう父からの虐待やクラスメイトからのイジメに耐えなくてもいいんだ

これからはきっと楽になれる

ツツーと頬に涙が伝う

今まで本当に頑張った

でももう頑張る必要なんてない

あとは飛び込むだけ

落ちるギリギリの所に立ち飛び込もうとした時

「あんた何してるの！」

誰かに呼び止められた

さっき誰もいない事確認したはずなのに

ゆっくり声のした方を振り返ってみると

私でも知っている有名アイドル【瀬名泉】がいた

「そんな所でなにしてるの？危ないからこっちおいで」

見ず知らずの私に優しく止めてくれている泉さんを無視出来なくて飛び込むのを辞めた

フェンスをまたいで彼の方に向かう

「ちょっと…全身傷だらけじゃん……何があったの？」

そう言って私の傷だらけの腕を優しく撫でてくれる

『……ちょっと色々あって……でも大丈夫ですから、気にしないでください』

泉さんに迷惑をかけてはいけない

だから、大丈夫と嘘をついて作り笑いをした

すると泉さんはキッと少し怖い顔をして

「絶対大丈夫じゃないでしょ」と返してきた

「こんな時間まで家に帰らないなんて…もしかして家で何かされてるの？」

「見た感じ虐待…とか？」

虐待という単語が出た時、ピクリと体が反応してしまった

『…………』

「何も言わないって事はそうなの？」

それでも何も言えずにただ硬直する私を見て泉さんは、

「あんたのこと放っておけないから、ひとまず俺ん家来て」

そう言って私の手を取って歩き出した

『……いいんですか？』

「当たり前でしょ。困ってる人を助けるのが騎士の役目だからねぇ」

そんな彼の手は、凄く暖かかった