舞い降りた段ボール事件簿*１ ページ45
DDDのお手伝いをすることを決めてから数日が経過し、もう残すこと二日となった。
追い込み追い込み、と今日も今日とて、慌ただしく野外ステージの準備を進め、汗だくになりながら必要なダンボールを運び込む。爛々と輝く太陽のなんと眩しいこと。
「おーいA！そこ、えっと、目の前にある段ボール持ってきてくれ！二箱……は無理そうだな。一箱ずつで良いぞ〜！」
「はぁい！今すぐー」
ぅいしょおっ。
おっさんよろしく、なんとも情けない声で山積み段ボールから1つ持ち上げる。腕の中のずっしりとした重みに腰が悲鳴をあげそうだ。普通こういのって業者がやってくれるものじゃないのか。
アイドルが手ずから舞台準備だなんて。もしや夢ノ咲って結構ケチ……？
「へい、おまち！」
「ん、サンキュ。重くなかったか？ できる範囲で手伝ってくれれば良いからな」
「衣更先輩こそ、あんまり無理しないでくださいね」
おう、と制汗剤のCMが似合いそうな爽やかキラキラスマイルを浮かべるのは、生徒会役員の衣更真緒先輩だ。
お手伝いをするにあたり仲良くなった。蓮巳先輩に紹介されたときは二人して驚いたものだ。何せ入学初日に出会っていて、しかもハプニングがあったから。
今考えると半分は俺が悪いけれど。まぁこの際いいのだ。過去は振り返らん。
「……い……お〜い、Aさん？」
「はっはい？」
「ぼぅっとしてるけど大丈夫か？ まだ春先とはいえこの暑さだし、体調悪くなったらすぐ言えよ。ああほら、汗拭こうな」
俺が首に巻いてるタオルで顔の汗を拭ってくれる。ぐしぐしと額の汗を拭き取られ、頬や鼻を同じようにわしゃわしゃされ「わぷ、」と声を漏らせば、衣更先輩は「ははっ、犬みたいだな」と笑った。
「ほらポチ、終わったぞ。ブルブルってしてみ？」
「犬扱いは初めて！！」
「冗談冗談」
そーいうネタ、いくない。
「ちょっとここらで休憩するか。頑張ってる後輩くんには、特別サービスで飲み物を恵んでしんぜよう！」
「やった！俺、オレンジジュース！！」
「はいよー。すぐ行ってくるから大人しくしてろよ」
ひらひら、と手を振りながら走り出す先輩。
俺は近くのベンチに腰を下ろしつつ、ふぅ、と一息ついた。
あ〜、肩が凝る。最近は母さんの変な弁当が続いてるし、無駄に疲れ──
「うわぁあああ！？そこの人、危ないッス〜！！」
「へぁ？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1417人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yukki(プロフ) - 続けてくださって嬉しい限りです！これからも応援しながら作者様の作品を読ませていただきます！！ (2020年1月11日 23時) (
レス) id: c7ca82405e (このIDを非表示/違反報告)
すみぃ(プロフ) - 続けて下さってほんとに嬉しいです！！pixivあんまり詳しくなくて作者様の作品見れるか不安なんですけど勉強します！！これからも影ながら応援しております！頑張ってください！ (2020年1月11日 19時) (レス) id: f77c46eafb (このIDを非表示/違反報告)
「なる。」(プロフ) - 作者様の書き方がとても好きですし、凄く読みやすいと感じています。なので、占いツクールでの活動を続けるという決断をなされた事が、凄く嬉しいです。最後になりましたが、更新、楽しみにしながら気長に待ってます。 (2020年1月11日 12時) (レス) id: 61cc988ea5 (このIDを非表示/違反報告)
「なる。」(プロフ) - こんにちは。突然ですが、コメント失礼します。占いツクールでの作品の書き方ですが、台本書きでは無い他の作者様も大勢いますし、現に私も台本書きはしていません。書き方は作者様の自由なので、台本書きでも、台本書きじゃなくても、どちらでもいいと思います。私は、 (2020年1月11日 12時) (レス) id: 61cc988ea5 (このIDを非表示/違反報告)
Tatutatu(プロフ) - この作品とても好きです！続ける決断をなさってくれてとても嬉しいです……！ (2020年1月11日 10時) (レス) id: b586c3b914 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
