テニス部*３ ページ34
「ていうかさっきから気になってたんだけど、この人誰？」
「仁兎なずな先輩。俺がテニスコート見てたら、おいでってしてくれた」
ね、と仁兎先輩に確認すると、彼は小さく首を縦に振った。
「ふぅん。ボクは姫宮桃李。まだ仮入部だけど、多分このまま入部すると思うからよろしくお願いしまーす」
姫宮の挨拶に仁兎先輩も軽く会釈で返す。ていうか、姫宮敬語使えたのか……。
「ん？あ、どうしましたか？」
失礼なことを考えていると、またまた裾を引っ張られる感覚がして、仁兎先輩の方を見る。すると、彼は小動物のように可愛らしく首を傾けて、俺の鞄に視線を移した。
「一体どうし……げっ！！」
鞄の間から、しまいきれていなかった服──正確には、手芸部で着せられた女学院の制服が顔を覗かせていた。しかもよりによって、スカート部分が見えてしまっている始末。
「こ、これは……！」
慌てて鞄を閉じるも、時既に遅し。二人はバッチリ目撃してしまったようで……。
「えー、なになに？それ、どうしたの？可愛いじゃん」
「……？」
姫宮が純粋な眼で俺の顔を覗き込んでくる。一方、仁兎先輩はよくわからないといった表情を浮かべていた。そりゃそうだよね……。
「ええっと、実は」
かくかくしかじか──。
手芸部や廊下でのことを話し終えて周りの反応を窺うと、姫宮は顔を引きつらせていた。
「うわぁ……。かなり災難だね。ボクみたいな天使は尚更気を付けないとっ！」
「姫宮は問題ないだろ。だって外見は可愛いけど中身が」
「喧嘩売ってるわけ？相手するよ、ボクの家が」
「うわーっ横暴！」
可愛い見た目に反してやることがえげつない。司と話していたからきっとお金持ちなんだろうし下手なことは言うまい。
「あ、仁兎は気をつけた方がいいですよ。あの人たち、綺麗な物が好きみたいで──って、仁兎先輩？」
話している最中に、仁兎先輩が固まってしまった。まるで石像になったかのように、微動だにしなくなってしまったのだ。
「ど、どうかしました？仁兎先輩」
返事がない。ただの屍のようだ。
じゃなくて！どうしてこんなことになったんだろう！？
「仁兎先輩？大丈夫ですか？」
「これ……誰が……」
「へ？あ、えっと、斎宮先輩と影片先輩って人が……」
そう答えると仁兎先輩は「……そっか」と小さく呟いて、どこか懐かしむように、愛おしむように、けれど少し寂しげに笑って衣装を優しく撫でた。
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苺バニラ(プロフ) - りなさん» ありがとうございます！そう言って頂けると、嬉しい限りです！更新が遅めになっていて申し訳ない気持ちで一杯ですが、これからも頑張ります！ (2019年8月20日 14時) (
レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りな - 凄く良かったです!!面白かったです!!更新無理をせず頑張ってください！応援します!! (2019年8月20日 10時) (レス) id: 55c1958e88 (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - りさこさん» ありがとうございます(*´ω｀*)とっても嬉しいですし、励みになりました！りさこさんは優しい方ですね！今後も頑張ります!! (2019年7月29日 7時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りさこ(プロフ) - 更新お疲れ様です！とにかく最高でした！！これからも応援してます！！ (2019年7月29日 0時) (レス) id: c7281289de (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - 夜桜ナイフさん» ありがとうございます！時間が空き次第でよければ、拝見させてもらいますね！ (2019年7月14日 16時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
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