男装パンダは恋を忘れられない【沖田総悟】3

137、賭けの責任 ページ39

加藤が言っていた話、どうやら本当のようだった。
副長にこっそり聞いてみた結果、「ある」という事で。

「…あー、んな落ち込むなよ…」
「いやですが……こんな、こんな話が出ているなんて…。風紀を乱している原因がオレなんて…」

私はとてもショックを受けていた。
まさかそんな話が出ているなんて本気で思っていなかった。
というか、隊長の前だと私の表情が違うのか…？
だって私だぞ？無表情過ぎて怖いと言われ続けた私だぞ？

「……あの、オレってそんなに隊長の前だと…違いますか？」
「あー……」

返答を迷った副長の姿を見て察した。
どうやら本当に違うらしい。

「違いますから。付き合ったりなんてしてないです。そもそも男同士です…」
「……お、おう」
「これはあれですか暫く隊長と距離を置いた方が」
「置くんじゃねぇぞA」

ひっ。
背後から声が聞こえて思わず仰け反った。
た、隊長いつのまにいらしてたんですか…。
こっそり抜け出してきたというのに。

「たく、面倒な事になってきやがった」
「す…すみません……」
「敬語やめろ」

いやでもこんな話がある以上適度な距離感で接するべきだと思うんですがね？
少なくとも敬語なんか取ったら余計に変な話が広がるだろ。

「こ、こんな話が出ている以上それはちょっと…」
「チッ。真面目すぎんだよ馬鹿だろ」
「真面目なのは否定しませんが馬鹿は否定させてください」
「……A」

副長に呼ばれて、私は視線を副長に向けた。
副長は少し迷うような素振りを見せたあと、口を開く。

「…お前は気にしなくていいと思うぜ」
「え、いや…でも」
「少なくとも、お前が悪いんじゃなくて周囲の隊員が悪ふざけしてんのが原因だろ」

それはそうかもしれないけれど…。

「それに隊員の奴らも別に否定的ってわけじゃねぇ。中には似合いだなんて喜んでる奴も…おい落ち込むな」
「……」
「なんですか土方さん。フォローしてるつもりなんで？」
「そりゃあAが悪いわけじゃねぇのに悩むなんて馬鹿馬鹿しいだろうが。お前はいつも通りやってくれりゃいい」

そう言われて私は俯いていた顔を上げた。
…いいの、だろうか。本当に。

「A、俺ァお前に距離を取られると寂しくて死んじまうかもな？」
「っ……わ、分かったよ…」
「分かりゃいいんでィ」

隊長に頭を撫でられて思わず上げていた視線を伏せた。

「……お前ら、本当にまだなの？？」
「まだですぜ」

…なんの話だよ。

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