第27話〜涙に濡れた露草色〜 ページ30
珱sibe
颯天の質問に返答せず、辺りに沈黙が流れる。
私は正直迷っていた。
彼がうなされているのを見て、何と声を掛けたら良いか分からない。
もちろん、怖くないと言えば嘘になる。
勿論、人間は怖いし嫌いだ。
でも
でも
私は、彼を憎めない。
あんなに苦しそうで、切なげな顔で眠るなんて、普通じゃない。
私は、物の救い方が分からない。
でも私は、ここで立ち止まっていられないんだ。
私は震える足で身体を支え立ち上がろうとした時。
「……待って」
小さな声と共に、手首をそっと握られた。
その手はびっくりするほど冷たくて、震えていた。
「外…雨降ってるよ……？」
そう言われて外に目をやった。
空は灰色に覆われ、大粒の涙を溢している。
私はそのまま、颯天の隣に座った。
「………あのさ…僕の話、聞いてくれる…？」
弱々しい、震えた声が反響する事無く、暗闇に消える。
私は頷いた。
「僕もね…人間が憎いんだ……いつも自分が大事で、可愛いくて、保身に走るばかり、人の努力も知らないで、それを貶して、踏み潰そうとする」
乾いた笑い声を交えながら、人間への思いを吐き出し始める。
彼の長い睫毛は、透明の液体により、僅かな光を返して白銀に輝いた。
「でも、中には僕の気持ちを理解してくれる人もいた、でも決まってその人達はすぐに僕の視界から消えてしまう……………僕は、人を不幸にする『天災』なんだ……」
胸の奥に何か熱いモノが流れる。
私は濡れ始めた彼の頬を両手で挟み、優しくこっちに引き寄せた。
「人は、変わるのが怖いんだ、ずっとこのままでいたくて、未来を夢見たくなくて、立ち止まってるんだ」
口から言葉が漏れる。
自分でも、意識なんてしていなかった。
自然に言葉を重ね続けていく。
「だから……私は…
努力出来る事も、才能だと…思うよ」
彼の瞳が開かれ、露草色の透き通った瞳は、美しい涙に濡れていた。
私は後先考えずに、適当に物事を口にしていた。
でも不思議と後悔は無い。
雨が岩を叩く音が消え、外から光が差し込む。
私は立ち上がり、外へ出た。
彼は執拗に頬を拭ったままで動こうとしない。
私は彼を背にして外へ出た。
ふと空を見上げる。
雨が止んだばかりの蒼には虹が掛かり。
雲が払われ、降り注ぐ日の熱も心地良い。
澄んだ風が頬を撫で、髪を空へ泳がせる。
私は思い切り伸びをして、再び空を見上げた。
その空の蒼は
まるで、
第28話〜惹かれるように感じる〜→←第26話〜人間=トラウマ製造気〜
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ロリコンサンダー（仮） - うらみん PC垢さん» すみません！携帯とか成績とか精神が壊れていたせいで、更新が止まってしまい申し訳ございません。 (2019年11月25日 17時) (
レス) id: 726db12174 (このIDを非表示/違反報告)
うらみん PC垢 - 更新楽しみに待ってます (2019年10月25日 20時) (レス) id: 57acaff2a1 (このIDを非表示/違反報告)
ロリコンサンダー - アエルさん» ありがとうございます……わ、わたしも……ポッ←すみませんwそういって頂けて嬉しいです！ (2019年9月12日 18時) (レス) id: 6a276d2734 (このIDを非表示/違反報告)
ロリコンサンダー - しーずんぺろ子さん» そっ、それなぁ！？あ、ありがとうございます………(照) (2019年9月12日 18時) (レス) id: 6a276d2734 (このIDを非表示/違反報告)
ロリコンサンダー - べのむさん» え、えええええええええぇぇええええ！？！？！？！？ありがとうございますぅううう？？？ (2019年9月12日 18時) (レス) id: 6a276d2734 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：莉愛&ロリコンサンダー | 作者ホームページ：http:
作成日時：2018年12月29日 11時
