君が何と言おうとも、僕は運命を抱き締める。

第21話〜秘密の花園〜 ページ24

漣sibe

あれから、何時間動き続けただろうか。

足の裏は痛くなり、日差しも強くなっていく。

視界が歪んでいくのに気が付き、近くにあったそれなりに大きい洞窟に駆け込んだ。

「……ふぅ〜」

オレは細い溜め息を吐いて膝から崩れ落ちた。

久しぶりの冷たい空気に自然と安堵を覚える。


誘われる様に奥へ奥へと足を運ぶ。

ひんやりとした風が頬を撫でた。


光が遠くなり、闇がオレを包む。



そんな中。


静かな音が聞こえた。



水の湧き出る音だ。



暗い洞窟の中に一筋だけ光が差している。

その光の元には


水色に光る湖があった。



その美しさに息をする事も忘れて歩み寄る。

透き通った水の中に、一輪。



自信なさそうに蒼い薔薇がそっと咲いていた。

水に手を付けて、薔薇の花弁に触れる。


指を動かすと波が揺れて、蒼く歪む。

青空の様に澄んだ波を見て






切なさに胸が締め付けられる。


どうして。

どうして。



オレはこんなに悲しいのだろう。

絶えず湧き出る水の様に。


俺の心も湧き出る切なさに埋め尽くされる。

まるで、オレのこの先の人生を、

示されているかの様な。


そんな時。

声が聞こえた。


「れんくん」

幼い、女の子の声。

聞き覚えがあり、オレは動揺して慌てて振り返る。


その声があまりに冷酷で恐ろしい物に聞こえたから。


辺りを見回すと、目立たない所に小さな墓石が1つ立っていた。


[シュゲル・アインノール]
麗しく、淑やかな少女。

【秘密の花園】に眠る。




シュゲル・アインノール

それは、オレの親友だった。


シュゲルは……







エーテル・クーマリンに









殺されたんだ。







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[青い薔薇の花言葉]
「夢叶う」「奇跡」「神の祝福」
「諦め」「独立」「不可能」



作者 最近薔薇の花言葉にハマっています！

薔薇を使って上手く書けないかなぁ〜

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