【BL】【仮面ライダー】冗談も程々にしろ！【短編集】

ずるい(凌×貴) ページ30

呉島貴虎。
彼は実に表情の一つ一つが面白い。
非常に凛々しい顔をしているが、時折見せる優しげな表情もより、貴虎の人物像を気高く美しく成り立たせているに違いない。
…と、同時にずるくもあるぞ、貴虎。
これは、『あ、ちょっとその顔のままベッドに連れ込みたいぐらいになったわぁ、みたいな感覚に陥った』という際の話。


机に伏せてすや、と寝息を立てる貴虎を凌馬は発見した。
「気持ち良さそうに寝るねえ…」
わさわさ、と軽く頭を撫でてみる。毛量のある綺麗な髪は程よく解れていった。
顔を覗き込むと、貴虎はうっすらと目を開けた。寝惚けていて、まだ状況を理解していない。
視点の合わないとろんとした目が凌馬を捉える。
「…りょう、ま、、か…？」
名前を呼ばれた瞬間、激しい衝動が凌馬を襲う。
低音だが、ろれつがよく回らない、非常に、露骨に可愛らしさが大爆発を起こしていた。
理性を保て、理性を保て、理性を保て……！！！
ダメだ止まらん！！！！
プロフェッサー凌馬の脳は暴走を始めた！との如く貴虎の唇を重ね、舌をぐい、と奥に入れこんだ。
寝惚けと接吻の暖かさで更にフラフラとしている貴虎は声が止まらない。赤面し、抵抗するが完璧に浸って、凌馬に陥っているような＿＿その表情がたまらなく、とんでもなくたまらなく、床に押し倒す。
これが計算ミスなのだ。

床の冷たさに目を開けた貴虎が、凌馬の下腹に強烈なキックを浴びせた。
突然の痛みにうずくまっている最中に凌馬の腕から逃げる貴虎。
「いきなり頭を撫で始めると思えば…容易く唇を奪うなんてな」
半ば呆れで笑うが、その顔には紛れもない照れが隠れていた。どうせ貴虎は仕事だからと言って続きはさせてくれないだろう。
虚しくなった唇を尖らせ、反論する。
「いつもいつも君は…言っておくけどこうなってるのも君自身のせいでもあるからね」
心外そうに凌馬を見つめる貴虎。不安と疑念が募る表情であった。
「まだ解らないのか…君の表情。表情の一つ一つがずるいんだよ」
無意識でも、貴虎の表情に惹かれる。一つ一つが魅力があって、一つ一つに強いずるさを感じた。でも、
「やはり君は興味深い存在だね」
いつか君の表情を全部みてあげよう、と、にこやかに笑い合った。

cat+α...?(凌×貴)→←作者の海産物より！

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