【文スト】帽子幹部は私にだけ口数が少なかった筈なのに…【中原中也】

六十一言目 ページ16

貴方「あ、あの、私戻らないと……」

首領に書類を届けた帰り、廊下で偶然(？)出会った菊池さんに呼び止められた。
一通り話して部屋に戻ろうとすると腕を捕まれた。
そして今。

菊池「わかってます。でも、納得できないんです。中原幹部とどういう関係なのかちゃんと説明してください」

貴方「今は幹部と幹部補佐。それだけですから」

菊池「本当にそうですか？実は隠してる事あるんじゃないですか？」

貴方「あの、菊池さん、私行かないと」

本当、しつこいな…。
異能使う？いや、でも相手に送るとかそういうのはまだ制御しきれてないし……。

菊池「答えてくださいよ。何も悩む事じゃない筈です」

「いい加減にしろ、菊池」

振り返ると壁に寄り掛かる中也がいた。
最近やけにタイミングが良い。
盗聴器でもつけられてんのか……？

菊池「幹部っ…！」

中也「あまりに遅ェからどうしたかと思えば。手前も諦めろよ」

呆れた様に言う中也に菊池さんは強い口調で言った。
興味ないって態度に表してる心算なんだけどな……。

菊池「なら教えてください。幹部と上西さんはどういう関係なんですか」

中也「幹部と幹部補佐だろ」

菊池「幹部が言っていた事が頭から離れないんです」

彼が何を言ったって……？
頭から離れないってどういう事？

菊池「あなたは上西さんと仕事以外の関係も持ってる筈です。それが知りたいんです」

貴方「あったとして、知ってどうするんですか」

菊池「どうして否定しないんですか」

中也「肯定もしてねェだろ」

埒が明かない。
言ってしまえば良いのかもしれないけれど、此奴には言いたくない。
言う必要ないし。

貴方「あの、今借りにも仕事中ですから。行こう」

彼の手を引っ張って執務室に向かう。
後ろから菊池さんの呼び止める声が聞こえた気もしたが知らないフリをして歩き続けた。

中也「……良いのか？」

貴方「何が？」

中也「あンな話の切り方して良かッたのかって」

貴方「中也は良いわけ？私が菊池さんに触られて長話付き合わされてても」

中也「良くねェに決まってンだろ」

少し拗ねた様に小さく言った。
ちょっと意地悪しちゃったかな。
でもその言葉が聞けたのが堪らなく嬉しかった。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
作者の呟き
本格的になってきたから言うけども、この話、「中也と夢主と瑞希ちゃん」、「夢主と中也と菊池さん」の三角関係がダブルで出来てるのよね。二人ともモテるんだね、すごいね。

六十二言目→←六十言目

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す