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彼を考える ページ26

本当に少しだけ彼から血をもらった。
コップ一杯分くらい。
でもそれだけあればまた少しは何とかなる。

太宰「いいの?本当にそれだけで」

突然立ち上がったりすると良くないだろうから僕の膝に頭を乗せて寝たままそっと言った。
あ、膝枕は彼がそうしたいって言うからしてあげてるだけ。別に僕がしたくてしてるわけじゃない。

貴方「また暫くは持つだろうから大丈夫」

太宰「もっと飲んでも良いのだよ?」

貴方「いい。太宰さんが辛くなるだけでしょ」

太宰「私は別に……っ!」

身体を起こしかけた所で僕の方に倒れ込んできた。
無理に体制を変えたことで血圧が急激に変わってしまったのが原因だろう。
よくある貧血と同じだ。

貴方「大丈夫?」

太宰「やっぱりまだ駄目みたいだね」

弱々しく笑い乍らまた先刻と同じ所に戻って行く。
血が減ったからか、貧血を起こしたからか、彼の顔色は何時もより少し白い様な気がした。

貴方「無理しないで。僕が変わりに動くから」

太宰「そこまで言わなくていいよ。休めば良くなるから」

貴方「でも……」

太宰「少し寝かせて。君のいる所で寝たいんだ」

貴方「最近はずっと一緒でしょ?」

太宰「駄目、足りない。もっと君を感じていたい。駄目かな。A、君が好きだからそうしたいと思うんだ」

真っ直ぐな目。
発せられた言葉の優しさから垣間見える色気がまたやらしいというかそれでも惹かれるというか……。
彼に遊ばれてきた女性達は彼のこういう仕草や言葉の使い方に騙されたんだろう。
というか、そういう人は本気で彼の相手をしていないのかもしれない。んーそういう人の事はわからない。
 

貴方「いいよ……」

太宰「もし電話来たら代わりに出てくれるかい?たぶん国木田くんだから」

貴方「わかった」

僕に携帯を手渡して僕の手を握った儘目を閉じた。
綺麗な顔……。
本当、整ってる。
僕もそう言われるけど、僕なんかより太宰さんの方がよっぽど綺麗な顔をしている。

でも、結局僕は太宰さんの外側しか知らない。過去とか、何が好きとか、何が嫌いとか、どうして今の所で働いてるのかとかは全く知らない。
……話したくない事なのかな。


彼の髪に指を通しながら独特な傷のついてる左腕に包帯がされていないのを見た。
何度かしていない彼を見たが、白い肌には近くで見ないとわからないほどの小さな擦り傷や切り傷が沢山あった。
でもそれも含めて何だかやっぱり綺麗で、吸血鬼の本能なのか噛みつきたい衝動に駆られた。

優しい言葉→←彼の血は



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二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» いえいえ(*´-`)元々好きな作品なので読みづらくなるのは嫌だったので助かりました(*´∀`) (2018年9月27日 23時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 二次元好きのAliceさん» 見つけられたみたいで良かったです。こちらこそ面倒な作業をしてまで見てくださってありがとうございます…!頑張らせてもらいます…! (2018年9月27日 0時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
二次元好きのAlice(プロフ) - 紅野さん» 丁寧に教えて頂いたお陰でなんとかなりました!ありがとうございます(*´ω`*)これからも更新頑張って下さい(*´∀`) (2018年9月26日 22時) (レス) id: 7014feb675 (このIDを非表示/違反報告)
紅野(プロフ) - 外都騒川さん» こっちにもありがとうございます…!そう言って貰えるととても嬉しいです!私の書いているもので何か参考になれていれば、それは私にとって贅沢です笑 (2018年9月26日 17時) (レス) id: b65496d137 (このIDを非表示/違反報告)
外都騒川(プロフ) - 面白いです、僕もこんなお話書けるようになりたい。アンケートでも書いてしまったんですが続きが楽しみです。 (2018年9月25日 21時) (レス) id: 463bf4e276 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅野 | 作成日時:2017年9月24日 22時

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