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98◆火神と赤司◆ ページ4



火神が顔を上げると、そこにいたのは自分と同じ赤い髪の男――赤司征十郎が今朝の食事を持って立っていた。


「向かいの席、座ってもいいかい?」

「おう」


火神が了承すると、赤司は「ありがとう」と言い、火神の向かいの席へ座って食事を始めた。
黙々と食事をする赤司をちらりと見て、火神は居心地悪そうに心の中で溜め息を吐く。
黒子や他のキセキの世代の連中なら兎も角、何故自分の所にわざわざ座ったのか。
他の席を見渡せば、黒子は黄瀬や青峰と談笑しながら食べているし、緑間も紫原も自分の高校の人と一緒に座っている。しかし赤司だけ、何故か殆ど交流も友好もない火神の隣にいることに、火神は強烈な違和感と居たたまれなさを感じた。


「おい、」

「君の、」

「……先、聞くわ」

「……ああ、すまないね」


わざわざ自分の隣に座ったのだ、何かしら用があるのだろうと声をかけてみると、お互いに被ってしまった。それを若干気恥ずかしく思いつつも、気にせず赤司に先を促す。


「君の妹のことについてなんだが…」

「…アイツに何かされたのか?」

「いや、俺には何も。だが、百合が彼女に暴言を吐かれたと言っていてね」

「うわ、マジか……悪いな、Aには俺が言っとくし。白鷺にも悪かったって言っといてくれ」


申し訳なさそうに言った火神に、赤司は驚く。
そこは普通、庇うものではないのか。家族なのだから。妹の名誉が傷付こうとしているのに、こんなにもあっさり妹が悪いと認めてしまうのか。
そのような事を赤司が言うと、火神は「あー…」とばつが悪そうに苦笑した。


「Aのことを信用してないっつー訳じゃねえんだけどよ…」

「?」

「なんつーか…アイツはそういうヤツだからな。しょうがねえんだ。それに俺が信用してもしなくても、アイツはなんも思わねーよ」


A自身、他人を信用してねえからな。と火神は仕方なく困ったように――笑った。
まるで、手のかかる子どもが心底可愛らしくて仕方ないとでも言うかのような表情で言うものだから、赤司はますます火神がわからなかった。


99◆どうか手を触れてくれるな◆→←97◆自分の知らない彼女のカケラ◆



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設定タグ:黒子のバスケ , キセキの世代   
作品ジャンル:アニメ
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あかりんご(プロフ) - ずっっっと待ってます、また更新してくれるのを楽しみに待ってます! (2021年4月11日 16時) (レス) id: 9550685691 (このIDを非表示/違反報告)
何卒 - 続き待ってます…。不安定な所での更新停止中なので何だかウズウズしてしまいます…。 (2020年2月9日 3時) (レス) id: 58baba6999 (このIDを非表示/違反報告)
ミズキ - こ、ここで?ここで更新停止中なの?!めちゃくそ気になんじゃん…更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2019年11月21日 18時) (レス) id: da8ce484b3 (このIDを非表示/違反報告)
紫水(プロフ) - とてもおもしろくここまで読ませて頂きました!この後キセキと真白ちゃんがどうなっていくのか、とても気になります…!お話の続き、待ってます!! (2019年11月2日 13時) (レス) id: 4db15d5771 (このIDを非表示/違反報告)
honoka1013(プロフ) - この続きがとても気になります。更新を再開してくれませんか?楽しみにしています (2019年9月3日 15時) (レス) id: f57eb90381 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:縁樹 | 作成日時:2016年12月24日 5時

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