【ダンウォ】図書室で出会ったあの子

◇No19(貴女side) ページ21

とある小さな小屋



ｶﾀ ｶﾀ ｶﾀ ｶﾀ ｶﾁｯ

　その小屋の一室で、キーボードを叩く音だけが響く

　すでに時計の針は、十二時をまわろうとしていた


貴女「……」

　薄暗い部屋で光る、小さな画面


　『93%……』


　まだ、ダメか


　彼女は再度、キーボードを叩き始める


　『96%……』

　徐々に上がっていく


ｶﾁｯ




　『100%……。完了シマシタ』


　ホッと息をつく彼女


ﾌﾞｰｯ ﾌﾞｰｯ

　マナーモードの電子機器が鳴る

　かかってきたのはテレビ電話


[もしもーし。A、聞こえてる？]

　ｺｸﾘ

[こっちもバグの修正終わったわ。

　手伝ってくれて、ありがとう。


　こんな仕事を頼れる人、Aしかいなくて……。

　その前に、運営側も急過ぎるのよ。

　今日いきなり、ウォータイムのプログラムを更新する、なんてね]


　……彼女は『小林わかば』

　アキハバラのハッカー軍団に、最年少で入った

　凄腕のハッカーであり、プログラマーだ


　メカニックとして、私と一緒に学園に来たが、

　『運営側でプログラミングをしないか』

　と運営側の人に提案され、今は専属プログラマーとして学園にいる

　……勉強は、普通の生徒とは違う場所でちゃんと受けている


[……A、まだ、声出ないの？

　Aさえよければ、いつでもうちのところ、来なさいよ。

　うち以外、授業受けてる生徒、いないわ。

　先生に話はつけるから]

　彼女は滅多に見せることのない、笑顔を見せながら話す


[『ｼｭ、ｸ、ﾀﾞ、ｲ』]

　私はLBXに言葉を話させる

　彼女の顔はハッとなり

[あ！！まだやってないわ……。

　教えてくれてありがとう、A。

　それと、ホント、夜遅くまで手伝わせてゴメンなさいね。

　うち、宿題やって来るわ。またね、お休み！！]

　バイバイと手を振ったら、テレビ電話はプツリと切れた

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