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商店街の朝は早い。
「A。毎日手伝ってくれなくても大丈夫なのよ?学校もあるんだし…」
「いいの!運搬作業なんてお母さんにはちょっとしんどいでしょ?赤ちゃんのこと考えてあげなきゃ」
「ありがとうね、A」
お母さんは妊娠して7ヶ月。生まれるのは女の子。お父さんは産まれてくる赤ちゃんのために仕事も増やして頑張っている。だから私がお母さんと、商店街の八百屋のサポートをするんだ。
「だからぁ、ゆうたくんにはあの衣装絶対似合うってさぁ」
「アニキ、俺が無視嫌いなの知ってるだろ!大体あの衣装のどこが観客が喜ぶんだよ」
外に野菜を運んでいるとそんな声が聞こえてきた。顔を上げると予想通りの二人組がいた。
「2人ともおはよう」
声をかけるまで2人は私の存在に気づかなかったらしく驚いた顔をした。
「A!ねぇ聞いてよ、ゆうたくんが俺の注文した衣装着たくないんだってー!」
「聞こえてたよ、ゆうたの嫌いな虫の衣装にしたんでしょ、さすがにそれはどうかと思うよ」
「うう…Aは理解してくれると思ったのに」
ひなたはわざとらしくなく真似をした。
この双子は小さい頃この商店街で大芸道をしていた。双子の父親は見たことがあるけれど、とても冷たそうな怖い人だった。
「そうだ、A。どこの高校受けるか決まった?」
ゆうたが私に聞いてきた。私は今中学三年生で今は夏。本来ならすでに受験勉強に入っている季節だ。
「えと…高校受けるか迷ってて…」
「「え"!?」」
双子の声が重なる。
「うち妹も産まれるし、お金もあんまないし…」
その時店の奥から私を呼ぶお母さんの声が聞こえた。
「あ、呼んでるから行くね!2人とも学校行ってらっしゃい!」
私は逃げるように足早に双子の前から逃げた。
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作者名:湖子 | 作成日時:2017年8月19日 15時