【刀剣乱舞】愛せないから愛させない。* 伍色* (ページ32)

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30色目｢知ってるか？血中酸素濃度は96%以上が正常だ｣。ページ32

｢え、ちょ、入院？なんで？｣
｢なんでって、酸素濃度が90を下回ってるからだよ!!! 完全に呼吸不全の症状で低酸素状態なんだから、僕は今ここでxxxちゃんを帰すことは絶対に無理!!!｣
｢酸素濃度90下回ってる!?!?｣

やけに頭がクラクラすると思ってたらそういうことだったのか！合点が行くと同時に、困ってしまった。あくまでも私は一時外出としてここにいる。入院となるとまた別の手続きがいるし、そもそも入院道具なんて持ってきていない。

｢ちょっ待っ……おっちゃん待って!!!今ちょっとあの……社員さんに連絡してからでいい!?｣
｢え!? 連絡が必要なの!? こんなに重症なのに!?!?｣
｢あの私あの……あの……!!!｣
『社員寮って言いな』
｢しゃ、社員寮的なとこに住んでるからその辺厳しいんだよ!!!｣
｢xxxちゃん社会生活向かないのに社員寮選んだの!? てかほら、じゃあ早く連絡して!!! 必要だったら僕からも言うから!!!｣

おっちゃんに促されるまま、慌ててスマホを取り出し診察室を出て朱月さんの番号に電話をかけた。呼び出し音がしばらく鳴り響き数十秒した頃、繋がる音がする。

『はい、朱月です。Aさんの番号ですよね？』
｢はい、Aです。あの……すみません朱月さんあの、私……｣
『外出先で何か問題が起こりましたか？』
｢……その、入院が必要って言われて……｣
『……えﾞ』

明らかに電話口から焦り始める雰囲気が感じ取れた。それもそうだろう、一時外出の予定で手続きをした審神者がいきなり｢入院が必要｣なんて言い出すもんだから。

『……その、なんで入院が必要なんです……!?』
｢喘息発作の影響だと思うんですけど……酸素濃度が低くて呼吸不全の症状が出てるみたいで｣
『あ、それに関しては俺も多少知識があります。数値どれくらいだったんですか？』
｢90下回ってるって｣
『90下回ってる!?!?』

耳がキーンとした。朱月さん、相当デカい声で叫んだなこりゃ。というか朱月さんにその辺の知識があって助かった、話が早く進みそうだ。

『手続きはこっちでしておくのでAさんはそのまま入院してください！それでよく動けましたね!?』
｢いや、ほんと、気づかなくて……確かに頭クラクラするなとは思ってたんですけど｣
『いやもう危ない、危ないですって、とにかく本丸のことは気にしなくていいのでAさんは体調を整えてから帰ってきてください!!!』
｢わ、わかりました｣

では、といい電話を切る。
……あっという間に入院が決定してしまった。