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story6 ページ7

海兎side

「お前……看護師さん達が怒ってたぞ。」

「知ってるよ……此奴には匿ってもらってるだけ。」

『何話してるの?』

要は俺の白衣の裾を少し引っ張って紙に書いた文字を見せてきた。

『何でもない、Aは気にするな。』

少ししゅんとしたのがわかった。

『お前、Aってんだな!!』

普通の人よりかはスピードは遅いが少し話し始める2人。

此奴は何で聞こえも喋れもしないAを構ってるんだ。

言い方は悪いかもしれない。

けれどそれが"普通"の人は面倒くさいことには首を突っ込まない。

それに。

Aは今日の脳の検査でよく分からない病気が見つかった。

原因は脳にある大きな腫瘍らしい。

最近頭を抑えて悶えていたのはこのせいだと思う。

原因は見つかっても前例がない為赤外線治療などはせず腫瘍を取り除く他対処の仕様がない。

だが、今までこの病気を患った人の中に腫瘍を取り除いた人はいないらしい。

理由を聞くと皆納得する。

腫瘍を取り除くと今までの記憶が無くなるからだ。

無くなると言っても人それぞれ。

患う歳が若ければ若い程生きてきた記憶全てを無くす確率が高くなる。

元々の記憶が少ないからだ。

どの病気でも大抵そうだ。

声がなくなるくらいなら、もう一生走れなくなるならそう言って生きる可能性よりもただ死を待つ人を何人も見てきた。

Aの場合手術を受けないと決断した場合検査が終わってから1週間……今日からだと2週間が残りの命らしい。


お前は、Aはどっちを選ぶんだ……。

記憶を失っても生きるのか……

最期まで記憶を持ち死を待つのか……。

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作品ジャンル:恋愛
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作者名:クロスケ | 作成日時:2019年3月25日 1時

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