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トイレを済ませたAは、ふと頭に触れる。









『……ない』









兄から預かっていた帽子が、消えているではないか。

ガーンと効果音が鳴りそうな程ショックを受け、泣く暇も無く帽子を探す。





すると、視線の先に黒帽子が落ちていた。

Aは一目散に帽子の所へ走り、手に取った。





瞬間、後ろのドアが閉じて行く。





ドアの隙間から、慌てて此方に走って来る部下二人。

残念なことに、部下二人の目の前でドアが閉まった。





ドアの横についている数字がどんどん減って行く。





何の偶然か、誰かの悪戯か。





Aは一人、昇降機に乗って階下へ降りて行った。









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芥川龍之介と樋口一葉は、自分達の部屋へ戻ろうと昇降機の前で待機していた。

扉が開き、中へ乗り込もうとしたが、先客が居た。









「え?」





「……」





『?』









昇降機には、小さな男の子――――Aが乗っていた。

頭には大き過ぎる、そして見覚えのある黒帽子。





数秒間お互いに見つめ合っていると、静かにドアが閉まって行く。









「わわっダメダメッ!!」









慌てて樋口がドアを止めて、再度目の前のAを見つめる。





癖のある赤毛に青い瞳。

頭には大き過ぎる、そして見覚えのある黒帽子。

上司が何時も身に着けている帽子だった。





そこで樋口が何かに気付いて、Aを抱えた。









「芥川先輩っ! この子、中也さんですっ!」





「……」





「何でこんなに小さく……それに何故セーラー服を……」





『あいっ!』





「くっ……そして、何て可愛らしいお姿にっ」









樋口は腕に抱えるAをよしよしと撫でる。

それを見ていた芥川が口を開く。









「樋口、その幼子は中也さんではない」





「え、そうなん…………はっ! ま、まさかこの子、中也さんの子ど――」





「違う。中也さんの弟だ」





「中也さんにこんなお小さい弟さんが居たんですかぁぁぁっ!?」





「五月蝿い」









騒ぐ樋口に動じる事無く、Aはじっと芥川を見つめる。





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ソルト(プロフ) - この作品にてねこぱふぇさんの作品を全て読み終わりました。どの作品も面白く1日で読み終わってしまいました…これから2週目に入ります。今後のご活躍を期待させていただきます。 (2019年6月14日 0時) (レス) id: 61b043fd1c (このIDを非表示/違反報告)
鶴媛(プロフ) - ネコぱふぇさん» 弟君の幼女化ありがとうございました!!弟君シリーズすごく好きです!!これからも応援しています! (2019年4月30日 21時) (レス) id: 3faee80352 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのごん子 - 獄都事変とコラボしてガッツポーズしたのは私だけじゃないはず (2019年4月29日 21時) (レス) id: 1eba992f2c (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - 大阪さん» すみません。バチカン奇跡調査官は詳しくないです。 (2019年4月29日 10時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
大阪 - リクエスト、まだ大丈夫でしょうか?バチカン奇跡調査官とのコラボがみたいです… (2019年4月29日 5時) (レス) id: 513b666ef4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2019年3月24日 23時

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