【文スト】一般人の中原です その二

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取り合えず今川焼きを幾つか買って、二人で半分ずつ食べ比べした。









「どら焼きとはまた違うのね」





『うん、久々に食べたけどやっぱ美味しい』









出来立ての今川焼きを頬張るエリスがご満悦になった所で、Aの携帯電話が鳴った。









『もしもし？』





＜A、お前今外だよな？＞









電話の向こうの兄、中也の声は少し焦っていた。









『そうだけど、どうしたの？』





＜エリス嬢が居ないってウチの首領が騒いでんだよ。街で見掛けなかったか？＞





『エリスちゃんなら、今俺と一緒だけど？』





＜そうか、一緒…………はぁっ！？＞





「チュウヤ、イマガワヤキ美味しいわよ！」





＜なっ……え……？＞





「だから大丈夫よって、リンタロウに伝えといて、じゃっ！」





『あ』









そう云うと、エリスは釦を押して通話を切ってしまった。

切り際に、中也の慌てた声が聞こえた気がする。









『……切って良かったの？』





「どうせ飛んで来るわ。ねぇ、もう一つ食べて良いかしら？」





『どうぞ』









それから、Aとエリスは二人で今川焼きを食べた。





黒光りする高級車が到着するのは、その数十分後だった。



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