【◇】初恋。

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「なんか、距離も感じるしよ……」と空いている手で頬をポリポリ掻く倉持くんはなんだか可愛い。





「う、うん わかった」

「ん、」



「倉持、なに女の子と手なんか繋いじゃったりしてんの？」





さっちゃんたちとの会話に区切りがついたのか、いつの間にか倉持くんの背後から肩に腕を回しながら御幸くんが立っていた

倉持くんは「うるせェよ！！」と肩に乗せられた腕を振り払う。その時に繋がれていた手と手も離れてしまったので少し、いやだいぶ名残惜しい





「あ、この子が梅本たちが言ってた小宮Aさん？」

「そうよ、どーだ！可愛いでしょ！！」





私の肩を抱き、何故か自慢げに言うさっちゃん。





「あ、小宮Aです！」

「あ、御幸一也です。一応こいつらと同じ野球部」





お互い深々と頭を下げ挨拶をする。
廊下で繰り広げられる自己紹介になっちゃんがクスりと笑い「お見合いみたいだね」と








「はぁ！？」

と誰よりも反応したのが倉持くんだった
なぜ彼がここまで反応するのか私には分からなかったが御幸くんは何か思い当たる節があったのか顔をニヤニヤさせて彼を見ている





「なるほどな、倉持。みずくせェじゃねーか」

「うるせェしその顔腹立つからやめろ！！」





倉持くんが顔を真っ赤に染めて御幸くんに怒鳴っている
彼がなぜ怒鳴っているのか分からないまま眺めているとなっちゃんが「そろそろ」と声を発した





「購買行かないとやばいんじゃない？」

「あ、」

「御幸！倉持！私らそろそろ購買行くわ」





さっちゃんの声に倉持くんと倉持くんに関節技をキメられていた御幸くんが反応し、2人とも手を挙げ「おー」と返事をしてくれる






「じゃーね、倉持くん」

「ヒャハハ、またな」




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