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その夜、零くんは眠れなかったらしい。
いい気味だ!妹を揶揄って遊んでるからそういう目に遭うんだ。
「あたし寝てたのに6時間どうしてたの?」
「目瞑ってたら寝れっかと思ったけど、寝れねーからぼーっとしてたわ...眠っ」
「じゃあ、寝てていいよ?ご飯作ってあげる!」
「眠いから後にするわ...Aはちゃんと食ってけよ?」
はぁ...珍しく作ってあげるって言ったのにこの反応だよ。
ポンコツは強い刺激を与えると、珍しい事を言っても
上書き出来ないらしい。
ソファーに座るとビクッとする。
「やめてよ、その反応!明日撮影なのに...てか、今あたしの言った事聞いてた?」
「...飯だろ?」
「もう二度と作ってあげないからっ!一生零くんとりっちゃんが作ってね」
「悪い悪い...Aが作ってくれるならカップ麺だって嬉しーぞ?」
怖いくらい小さい頃のあたしに話している雰囲気だ。
悪戯が過ぎたかな...
ソファーに一緒に横になって、腕枕をしてあげる。
「こうしてるから、寝れそうな時に寝ちゃいな?」
「Aは朝飯どーすんだよ」
「途中のコンビニで買うよ。少しでも寝て?」
髪を梳きながら背中をさすると、すぐに眠ってしまった。
あたしも零くんの匂いで安心して、そのまま眠ってしまった。
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「おい!Aもう昼だぞっ!...学校に連絡したのか?」
「してない」
零くんは遅くなってすみません、と連絡を入れてくれた。
「まだ寝よ〜」
「食ってからな」
軽めにご飯を食べて2人でベッドに横になる。
「なんで零くん余所余所しいの?」
「...マジの意味で、妹のちゃんとしたキスが俺になっちまったし...悪いだろ?そりゃ俺だって妹の彼氏なんて許せねーけど」
「あたしが強引にしたんだし!気にしなくていいって」
「するだろっ普通!」
「撮影までは恋人設定!最初に演技勧めたの誰よ?なら今度は零くんからして?」
「...お前寝ぼけてんのか?」
「だってフェアじゃん。零くんも演技に慣れて?撮影に響くし、いつか零くんもそんな仕事来るかもだし...」
横になると最後のレッスンをした。
素肌で抱き合うと、零くんは深呼吸する...1番を取り合ってたのに勇気必要?
頬を撫で軽くキスをすると唇を楽しむ様に食む。
ふっと息が漏れると手を握り、深くキスをする。
ちゅっと唇が離れる。
「罪悪感なくなった?」
「アリアリだろ...妹に..「ちゅっ」」
「撮影までは楽しめばいいじゃん?罪悪感より、1番を貰った嬉しさはないの〜」
「複雑だけど、お前は俺のモノだな」
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作者名:馨 | 作成日時:2020年8月26日 4時