3*繋がれた手。 ページ4
「…え…?」
「あァ、ごめんネ…随分小さい手だと思って、つい取ってしまったヨ。
不愉快だったなら、すぐに離すヨ?」
「い、いえ…大丈夫です、けど」
言葉の最後に接続詞を使ったものの、そのあとに続く言葉が無くて押し黙る。
彼は、僕が女だなんて…きっと、知らない。
だからこそ、こういうことをしているんだろうが…。
真宮寺君の大きな掌から伝わってくる熱は、日が落ちかけた時間帯には温かくて__…
…僕らが異性同士だと言うことを、僕に嫌という程、知らせていた。
「…」
「…やっぱり、嫌だったかい?
それなら、離す__」
「そ、そんなことないです!」
するりと僕の手から逃げるように離れようとする手を、ぎゅっと、此方から握る。
つい声を荒げてしまった罪悪感で顔を伏せた。
それは、強く繋いでしまった手に顔を赤くしている自分がいることを、隠す為でもあったけど。
「…僕、嫌なんかじゃ…ないです…。
…それと…ごめんなさい、声、荒げちゃって…」
視界に入っているのは微かに夕日に照らされている帰り道と、真宮寺君の足元…それと、僕と真宮寺君の、手だった。
だから、僕は真宮寺君の顔を見ることは出来なかったけど、今まで歩を進めていた真宮寺君からの視線を受けていることだけは、それを見ずとも分かった。
「…成る程ネ、そこまで…カ。
君という人がそんな事を言うなんて、思ってもいなかったヨ。
…やっぱり、人間というのは見ていて飽きないネ…」
淡々と告げられた言葉を聞いた後、真宮寺君の手が僕の手を握り返してきたのを感じると、恐る恐る顔を上げた。
すると、頭の上に柔らかい感触。
…これは、どうやらもう片方の手で頭を撫でられているようだ。
「…帰ろうカ。夕焼けのせいでは無いんだろうけど、君の顔も赤いしネ」
「…っ…は、はい…」
顔が赤くなっているのを指摘されると、再度うつむいてしまう。
手に巻かれた包帯の上からでも分かる自分とは違う骨格に、少しだけ頬の赤を濃くして、真宮寺君と一緒にそれぞれの帰路を辿っていった。
13人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゴマだれ - ヤバィ………サイコーかよ…ッ!!!! (2021年9月9日 6時) (レス) id: f75e97b3f4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:white tiger | 作成日時:2018年12月23日 17時