第四十四夜 目つきが悪い人には見られたくない ページ4
「“私たち”も、A殿に協力してもらえればと思っております」
銀行屋は気持ち悪いほどの笑顔をニコニコ振りまきながらAの手を取ろうと腕を伸ばす。
___だが。
「却下」
銀行屋の手首を結構な強さで叩きつけ、握手から逃れる。
Aはジュダルと戯れ合っていた時の態度とはまるで違い、冷たい目で銀行屋を睨みつけた。
「あっれぇ銀行屋サン。その顔どうしちゃったの? 抉れちゃってるみたいだけど。あ、そういえば元からそんな顔だったね、ごっめーん☆ ってかその目で見ないでくれる? 腐るから」
Aはあからさまな嘲笑をして言う。
その姿は毒を吐く蛇……否、彼女自身がまるで猛毒である。
「お前ボロクソ言うよな……」
銀行屋に同情して苦笑いするジュダル。
そんな彼を一瞬横目で見つめ、Aは拗ねたようにプイッとそっぽを向いた。
「さあ、行きましょうか」
銀行屋はAの暴力暴言のダブルパンチも気にすることなく、先ほどと変わらない笑顔を保っている。
それを見たAは不快そうに目を細め、チッ!と痛烈な舌打ちをかました。
「気味わりィのよ。キモい顔で人を馬鹿にしたようにニコニコ笑いやがって」
「ハァ……行こーぜ」
呆れてため息を吐き、ジュダルはAの手首を掴んで手を引くのだった。
*
「A殿。それではよろしくお願いします。では、私はここで」
結局、Aも彼等に協力することにしたらしい。
銀行屋は礼儀正しくお辞儀を済ませ、部屋を出て行った。
「本当にあいつらに攻撃出来るか? お前結構かばってたじゃん」
「……大丈夫。ジュダル病み上がりだし、体心配だから。心配しないで」
___貴方があたしを必要としてくれるなら、信じてくれるなら、あたしは貴方について行く。
それは、初めて自分を必要としてくれた人だからだ。ただの駒としてではなく、同士として、自分を引き入れてくれた人だからだ。
安っぽい理由かもしれない。だが、Aの心にその言葉は心地良く響いた。
「___い、おーい。Aー?」
「ん……あ、なに?」
「どうした? ずっとぼーっとしてたぜ」
「うーんちょっとね。それより、もうそろそろ行くわよ」
少しだけ戸惑って心配した顔をしていたジュダルだが、ぎこちなく返事をしてAに続いた。
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爽やか中一 - エヴァって良いよね、マギって良いよね、この小説最高。うん、フォント煮最高←分かるかな? (2020年8月16日 21時) (レス) id: 11099bdacf (このIDを非表示/違反報告)
まっちー☆ - なぜ私がマギなんだー(`∀´) (2013年12月24日 15時) (レス) id: 788e6f575e (このIDを非表示/違反報告)
にゃんにゃん子猫(プロフ) - 猫子さん» お返事すご遅れてすいません。 馬鹿じゃないですよ!私はお馬鹿さんですけどww コメントありがとうございます( ´ ▽ ` ) (2013年7月23日 20時) (レス) id: a7231b0c94 (このIDを非表示/違反報告)
猫子(プロフ) - 73夜の〈その夢が真実ですよ〉をくその夢とよんだ私は馬鹿でしょうか?小説おもしろいですよ (2013年7月14日 10時) (レス) id: e283e186ef (このIDを非表示/違反報告)
にゃんにゃん子猫(プロフ) - Rioさん» 番外編作ったので、是非見てください! 応援ありがとうございます^^ (2013年6月17日 7時) (レス) id: a7231b0c94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃんにゃん子猫 | 作成日時:2013年5月27日 17時