検索窓
今日:4 hit、昨日:17 hit、合計:309,391 hit

第四十四夜 目つきが悪い人には見られたくない ページ4

「“私たち”も、A殿に協力してもらえればと思っております」


 銀行屋は気持ち悪いほどの笑顔をニコニコ振りまきながらAの手を取ろうと腕を伸ばす。
 ___だが。


「却下」


 銀行屋の手首を結構な強さで叩きつけ、握手から逃れる。
 Aはジュダルと戯れ合っていた時の態度とはまるで違い、冷たい目で銀行屋を睨みつけた。


「あっれぇ銀行屋サン。その顔どうしちゃったの? 抉れちゃってるみたいだけど。あ、そういえば元からそんな顔だったね、ごっめーん☆ ってかその目で見ないでくれる? 腐るから」


 Aはあからさまな嘲笑をして言う。
 その姿は毒を吐く蛇……否、彼女自身がまるで猛毒である。


「お前ボロクソ言うよな……」


 銀行屋に同情して苦笑いするジュダル。
 そんな彼を一瞬横目で見つめ、Aは拗ねたようにプイッとそっぽを向いた。


「さあ、行きましょうか」


 銀行屋はAの暴力暴言のダブルパンチも気にすることなく、先ほどと変わらない笑顔を保っている。
 それを見たAは不快そうに目を細め、チッ!と痛烈な舌打ちをかました。


「気味わりィのよ。キモい顔で人を馬鹿にしたようにニコニコ笑いやがって」
「ハァ……行こーぜ」


 呆れてため息を吐き、ジュダルはAの手首を掴んで手を引くのだった。







「A殿。それではよろしくお願いします。では、私はここで」


 結局、Aも彼等に協力することにしたらしい。
 銀行屋は礼儀正しくお辞儀を済ませ、部屋を出て行った。


「本当にあいつらに攻撃出来るか? お前結構かばってたじゃん」
「……大丈夫。ジュダル病み上がりだし、体心配だから。心配しないで」


 ___貴方があたしを必要としてくれるなら、信じてくれるなら、あたしは貴方について行く。

 それは、初めて自分を必要としてくれた人だからだ。ただの駒としてではなく、同士として、自分を引き入れてくれた人だからだ。
 安っぽい理由かもしれない。だが、Aの心にその言葉は心地良く響いた。


「___い、おーい。Aー?」
「ん……あ、なに?」
「どうした? ずっとぼーっとしてたぜ」
「うーんちょっとね。それより、もうそろそろ行くわよ」


 少しだけ戸惑って心配した顔をしていたジュダルだが、ぎこちなく返事をしてAに続いた。

第四十五夜 人の話は最後まで聞きましょう→←第四十三夜 拒否ポーズ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (194 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
178人がお気に入り
設定タグ:マギ , ジュダル , 煌帝国   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

爽やか中一 - エヴァって良いよね、マギって良いよね、この小説最高。うん、フォント煮最高←分かるかな? (2020年8月16日 21時) (レス) id: 11099bdacf (このIDを非表示/違反報告)
まっちー☆ - なぜ私がマギなんだー(`∀´) (2013年12月24日 15時) (レス) id: 788e6f575e (このIDを非表示/違反報告)
にゃんにゃん子猫(プロフ) - 猫子さん» お返事すご遅れてすいません。 馬鹿じゃないですよ!私はお馬鹿さんですけどww コメントありがとうございます( ´ ▽ ` ) (2013年7月23日 20時) (レス) id: a7231b0c94 (このIDを非表示/違反報告)
猫子(プロフ) - 73夜の〈その夢が真実ですよ〉をくその夢とよんだ私は馬鹿でしょうか?小説おもしろいですよ (2013年7月14日 10時) (レス) id: e283e186ef (このIDを非表示/違反報告)
にゃんにゃん子猫(プロフ) - Rioさん» 番外編作ったので、是非見てください! 応援ありがとうございます^^ (2013年6月17日 7時) (レス) id: a7231b0c94 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:にゃんにゃん子猫 | 作成日時:2013年5月27日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。