第四十一夜 独り言は控えないと頭可笑しいと思われる ページ1
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瞼をゆっくりと開き、何度か瞬きしてから横たわっていた体をスクッと起こす。
「………出れられたか」
よっと王宮の石垣から飛び降りて華麗に着地すると、くるりと向きを変えてジュダルの眠っている部屋へと向かうA。
ペタペタと足音を立てて廊下を歩いていると、目指している部屋の前に男二人が背を向け、何かコソコソ話し合っている。だが、そんなことはどうでもいい。
「そこ邪魔なんだけど」
「すっすいません。……あの、一つお聞きしてもよろしいでしょうか」
「何よ?」
「貴方が神官殿と同じ"マギ"だとお聞きしたのですが……本当なのですか……?」
目の前でビクビクしながら話す男二人。
その姿はまるで天敵に見つめられて動けなくなった小動物のようだ。
「えぇ、あたしは本物の“マギ”よ。それがどうかしたの?」
___えええ!!? と驚愕して目を見開く。
その声を不信に思ったのか、部屋の中から男が一人、眉を顰めながら出てきた。
「何だ騒がしいな。どうかしたのか?」
なにやら慌てている男二人は、ジュダルが眠っていると思われる部屋から出てきた男に素早く耳打ちする。
「先程部屋におられたこの方は、“マギ殿”でした」
「なっ!!? も、もしそれが本当なら、煌にとっても重要な方に違いないっ……!!!」
「ねえ……どうかしたの? あたしそこの部屋に入りたいんだけど」
三人の男の間に割り込み、ジュダルがいると思われる部屋を指差す。
どうかなされたのですか、と問われてジュダルを見に来たと答えれば、男は意外にもすんなりとAを部屋に通した。
「失礼しまぁす」
バタンと部屋の扉が閉まり、Aは反射的に後ろを振り返る。
突然扉を閉められたことに、まさかジュダルは伝染病にでもかかったのかと予想してみるが、流石に有り得ないだろう。
苦笑してジュダルの方に向き直ると、できるだけ足音を立てないようにベッドへ向かう。
スー…… スー……
ジュダルの顔を覗くと、静かに寝息をたててぐっすり眠っていた。
Aはクスリと微笑し、艶のある黒髪を撫でる。
昨晩の殺しを楽しむ顔とは違い、今は純粋な青年の顔でスヤスヤ寝ている顔が違い過ぎて、つい笑ってしまったのだ。
「あのね……さっき、昔の同士と話して来たんだ」
寝息だけをたてるジュダルに独り言の様に話しかけるA。
柔らかく微笑み、愛しそうに目の前で眠る彼を見つめた。
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爽やか中一 - エヴァって良いよね、マギって良いよね、この小説最高。うん、フォント煮最高←分かるかな? (2020年8月16日 21時) (レス) id: 11099bdacf (このIDを非表示/違反報告)
まっちー☆ - なぜ私がマギなんだー(`∀´) (2013年12月24日 15時) (レス) id: 788e6f575e (このIDを非表示/違反報告)
にゃんにゃん子猫(プロフ) - 猫子さん» お返事すご遅れてすいません。 馬鹿じゃないですよ!私はお馬鹿さんですけどww コメントありがとうございます( ´ ▽ ` ) (2013年7月23日 20時) (レス) id: a7231b0c94 (このIDを非表示/違反報告)
猫子(プロフ) - 73夜の〈その夢が真実ですよ〉をくその夢とよんだ私は馬鹿でしょうか?小説おもしろいですよ (2013年7月14日 10時) (レス) id: e283e186ef (このIDを非表示/違反報告)
にゃんにゃん子猫(プロフ) - Rioさん» 番外編作ったので、是非見てください! 応援ありがとうございます^^ (2013年6月17日 7時) (レス) id: a7231b0c94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃんにゃん子猫 | 作成日時:2013年5月27日 17時