09*瀬名家の食卓 ページ10
久しぶりのママのご飯が美味しくって、あぁ家に帰ってきたのだと心からの実感している。
パパも笑顔でお酒を飲みながら留学中の話を聞いてくれていた。
「Aが帰って来て本当に嬉しいな。
なぁ、泉。」
「そうねぇ。」
「プロデュース科はA1人だから色々と大変だが泉も側にいることだし、ひと安心だ。」
『うん、今は泉さんのユニットの衣装作りを始めてね「泉さん…?」え?』
私の声にママの声が重なる。
向かいに座るママに目を向ければ、吃驚したような揺れる瞳…
訳がわからなくてパパを見ても先程までの柔らかさがない。
「…あのさぁ、なんで急にさん付けになってるわけ?」
「そうね…
前までお兄ちゃんって呼んでたじゃない?」
呼び名を変えたことが、そんなに驚かれてしまう事…?
3人からの視線に居心地の悪さを感じ、瞬きを数回しながら考える。
『…プロデューサー、だから…つい、家でもそう呼んじゃった。
ごめんね…お兄…ちゃん。』
「ははは、Aは仕事熱心だなぁ。
確かに兄妹だからと学校でお兄ちゃんお兄ちゃんとは呼べないな。」
「そ、そうよね。
ほら冷めちゃうからご飯食べましょう。」
「 ……。」
ご飯を食べて、暖かなお風呂に浸かり身体の疲れを取り除いた。
昨日までは海外にいて、今朝も普通に学院に行き、知らず知らずに身体は疲れていたらしい。
「俺もお風呂に行くから上がったらお兄ちゃんとお話ししようねぇ。」
すれ違い様に頭をぽんぽんとされ、この人は優しい顔も出来るんだと、ふと留学前の事を思い出された。
ユニットの皆や他の人に息を吐くように毒づいたり辛辣だったりするけど、私には基本は優しかった事を。
リビングで晩酌するパパの元に行き、私も湯冷ましにイチゴアイスを頬張った。
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モカ(プロフ) - 架月*さん» コメントありがとうございます!初めてこのお話にコメントが来たっ…!!非常に嬉しいです。更新頑張りますね。 (2017年6月23日 21時) (レス) id: efb045d001 (このIDを非表示/違反報告)
架月*(プロフ) - あとがきとあり、ここで終わってしまうのかと思ったのですが、続編と聞いてワクワクしてます!頑張って下さい! (2017年6月23日 21時) (レス) id: 6bbbbd55e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モカ | 作成日時:2017年6月9日 6時