飽きるほど、貴方に惚れてる【あんスタ】 (ページ4)

今日:12 hit、昨日:3 hit、合計:7,145 hit

素直になれない(1) ページ4

ぎゅーっと、効果音をつけながら彼女が抱きついてくる。ゆっくりと手を回しながら大好きですよ、と彼女に言う。

彼女はそのまま『俺』の唇へと自分の唇を持っていって＿＿＿＿＿＿。

＊＊＊＊
「なぁにぼうっとしてるんですか、茨」

「……へっ！？あぁ、なんでもありませんよ。それよりジュン、どうかしましたか？」

久しぶりのEdenでの練習中。ふと頭の奥でよぎった妄想をそのまま続けて考えていると、いつの間にか目の前には着替えをしていたはずのジュンが着替え終わり、訝しげに此方を見ていた。

変な声を出しながら要件を問うと、ジュンははぁ？と少し呆れたような声を出し、ドアの方を指さした。

「着替え、終わりましたよってわざわざ言いに来てやったのに……茨が言えって言ったんでしょうが。本当に今日大丈夫ですかぁ？」

「ジュンに心配されるとは、自分も落ちたものですね！はっはっは！」

ちょっとぉ、とジュンがイライラしたような声を出しているのを聞きつつ、レッスン室を後にする。

でもまさかあんな妄想が頭をよぎるなんて……。自分でも思ってなかった。弓弦がこんなこと聞いたら「気持ち悪い」とか言うんでしょうねぇ。まぁその通り気持ち悪いのですが。

自分でもあんな事考えてたなんて、ちょっと引きます。まさかあんな…………。思い出し、かぁっと1人で赤くなっていると、前方から閣下と殿下の話し声が聞こえてくる。急いで顔を戻し、にこやかに敬礼をする。

「やぁやぁ！閣下、殿下お疲れ様です〜！」

「……あぁ、茨。茨もお疲れ様。」

「毒蛇はまだ着替えてないんだね！早く着替えて……って毒蛇？赤くなってどうしたんだね？ちょっと気持ち悪いね」

殿下に言われ、顔に手を当て確認してみる。手には少し熱っぽい感覚が伝わってきた。慌てて笑顔を取り繕ってそうでしょうか？と返す。

殿下は疑うように、此方を見たあとふんっと言い、そっぽを向いて凪砂くん行こう、と歩き出してしまった。閣下は困ったように此方を見たあと、とてとてっと走って殿下に追いついた。

あのお方は本当に感が鋭くて困ります。それから理解も出来ませんし。もう少し、殿下の事を知らなくてはなりませんね。

本当に殿下には困ったものです。思わず溜め息を漏らすと、今度は後方からトンっと肩を叩かれる。振り返るとさっき妄想していた彼女が、ニコリと笑っていた。

「いーばらっ！お疲れ様！」

「Aもお疲れ様です！」

今日も本心を隠し通して、話せるでしょうか？