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大神は風丸や円堂と共に雷雷軒へと向かった。全国大会進出の祝いという事で、響木が奢ってくれるらしい。
朝の電話は円堂で、大神は彼からそう聞かされた。
そんなこんなで向かう3人だったが、大神がふらふらと2人の背中を遅れて追う。あまりにも遅い速度に、前を行く2人は振り返った。
「おい、お前今日様子が……って、何だその隈?!」
「うッわ、本当だ……昨日何してたんだ?面白いテレビでもあったのか?」
『……大した物じゃ、なかった……』
「うわーーッ!!?」
大神は歩みを止めることなく、そのまま目を閉じると、2人の視界から消える。大神が地面に激突する寸前、持ち前の反射神経で円堂が抱えた。
「あッぶね〜!大神、本当に大丈夫か?」
『……ああ。』
「全ッ然大丈夫じゃなさそうじゃん!大神ィ、しっかりしろ〜!!」
「円堂、大神の首座ってないから揺らすのやめろ!」
脱力する大神の肩を掴み、かなりの力で前後に振る円堂。呻く力も無い大神の様子に青ざめて、慌てて風丸が止めに入った。
「お前、今日家に居た方が良いんじゃないのか。」
『行きたいんだ……行きたいから、行くよ。』
そう言って、力無く笑う大神の顔色は明らかに悪い。風丸はどうしたものかと考え込んだ所、円堂が閃いたと手を叩いた。
「よしッ!大神、乗れ!!」
『……えぇ?』
背を向け、しゃがんだ円堂に目を丸くする。大神は1歩下がって躊躇するが、痺れを切らした円堂が無理やり大神を背負い込んだ。
「行こうぜ、風丸!!」
『…………もう、何でもいいや。よろしく頼むよタクシー、僕は寝る。』
大神はその背中に身を預け、目を閉じれば直ぐに寝息をたて始める。円堂は改めて体勢を整えると、ゆっくり歩き出した。
「うーん……朝電話掛けた時、すげぇ聞き取りづらかったのは眠かったからなのか。」
「……よく、約束出来たな。」
「ああ、何か出来た!」
元気な返事と同時に、携帯が揺れた。円堂は風丸に携帯を開くよう促し、風丸は円堂のポケットから携帯を取り出す。
「……木野さんからだぞ、もう皆着いてるってさ。」
風丸が円堂に携帯の画面を見せた。そこには3人以外全員が集合した雷雷軒での写真と、木野からのメッセージが載っていた。
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鷹羽(プロフ) - 雪華さん» 詳しく知っているアニメはあまり多くないのですが、上げるとするなら、このイナイレであったり、ジャンプコミックスのアニメ化した作品あたりを知っています。 (2021年3月6日 16時) (レス) id: 338e0ddf16 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 知ってるアニメは何ですか? (2021年3月6日 13時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鷹羽 | 作成日時:2021年2月26日 12時