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円堂や半田が居なくなり、東と大神は席に戻って雑談をしていた。教室内に殆ど人が居ないため、2人の話し声が目立つ。
『課題を出しに行ったら、水口くんのプリントがしわくちゃで……』
「あ、」
『あ?』
大神の話を遮るように東は声を上げた。不思議そうにオウム返しをすれば、東は間を置いて思い出した様に口を開いた。
「……塩野の掃除当番代わりにやったら忘れてた。」
『期限、今日の6時間目までだね。午後の移動授業は全部反対側だ、今行っておいでよ。』
東は急ぎ足でプリントを届けに教室を飛び出し、それを見て大神は滑稽だと言う様に笑った。
話し相手が居なくなり、特にやることも無くなった大神は私物の本を取り出す。特に面白みもない本だが、読んでおいて損は無い。
「少し、いいか。」
『……はい?』
大神は声のした方に顔を向けると、そこには今日転入してきたばかりの豪炎寺が立っていた。気づけば教室内に大神と豪炎寺しかおらず、消去法で大神は自分が声をかけているのだと理解する。
「大神A……で、あっているか。」
『あれ、先生から名前教わった?
はい、大神Aです。何か御用かな、豪炎寺くん。 』
「……」
『……豪炎寺くん?』
豪炎寺は大神を見つめ、安堵したような表情を浮べる。見つめられている本人は状況がわからず、豪炎寺からの言葉を待った。
「お前には、ずっと礼を言いたかったんだ。」
やっと口を開いた豪炎寺が発した言葉に大神は未だに状況が理解出来ず、早く終わってくれと思うばかりだった。
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作者名:鷹羽 | 作成日時:2021年2月19日 3時